平成22年第4回定例会 一般質問
平成22年第4回定例会 一般質問
平成22年 台東区議会 第4回定例会 一般質問
自由民主党の高森喜美子でございます。
お許しをいただきまして、通告の順に従い区長、ならびに教育長に質問いたします。
子どもクラブ整備緊急3ヵ年プランの進捗について
政府は11月15日、新システム検討会議で、 新育児施策「子ども・子育て新システム」の素案を公表しました。
共働きやひとり親家庭の小学生を放課後、校内や児童館などで預かる「放課後児童クラブ」台東区では子どもクラブについて、市町村に施設の整備、運営などを義務付け、原則として小学校卒業までを対象とするという方針を示しました
現行制度では、児童クラブの設置は児童福祉法に基づき、市町村の努力義務と位置付けているのですが、定員超過などの理由で利用できない児童が、今年5月1日時点で8千人以上に上ることから、小学生の預かりサービスの充実を図るため、法的な整備義務に格上げすることにしたのです。
現行では小学校3年生までとされている利用対象年齢についても、4年生以上の利用者が1割以上いる現状を踏まえ、6年生まで入所できるよう改め、保護者の就労状況が多様化していることから、利用時間の延長などサービスの拡張も検討する
としています。2013年(平成25年)度導入予定の「子ども・子育て新システム」に併せて実施を目指すとしていて、この中では、幼保一体化の推進や家庭省の検討も含まれています。
若い世代の晩婚化、未婚率高さは近年の特徴で、少子化に歯止めをかけ女性の社会進出を後押しする施策は国の重要課題であり、担っている地方自治体の責任は益々大きくなってきていると言えます。
本区に置いてもこうした要請の中で平成22年3月に「台東区次世代育成支援地域行動計画」を策定し、多様なニーズに応える保育サービスの充実や就学前教育の充実の取り組んでいるところです。この中での推計で平成26年度の時点で保育所入所希望者が、約2600人と想定されこの数字を22年度の定員総数で2187人と比較して約400人の不足が出ると見込んでいます。保育園の待機児解消については、わが会派の寺井議員が質問いたしましので、私はその子どもたちが小学校に入学すれば子どもクラブの希望者となる可能性が大きいと考えた時、子どもクラブの整備状況が気になるのです。
平成20年9月に「子どもクラブ整備緊急3ヵ年プラン」を策定し、待機児童の解消を図り、学校、子どもクラブ、家庭の移動における安全面を考慮するとされました。平成17年度以降子どもクラブの申請者数は、毎年30名から60名増加し各クラブは定員枠を25%まで増やして受け入れを行っている状況です。
また、整備計画を作るに当たり各学校区の子どもクラブ需要予測数を算出しています。平成20年4月1日現在での、5歳人口のうち何人が保育園に入園しているかを割り出した保育園入園率を元に、21年、から25年までの1年生から3年生までの需要予測の数が示されています。そして需要数にたいし不足数も示されていますが、学区域内に子どもクラブのない小学校では、当然需要数イコール不足数となり、緊急の対応が必要であることは言うまでもありません。予測に反して希望者が多くなり今年度待機児を多く出してしまったところも含め、全体で待機児は、45名となりました。需要予測の段階で不足していることを重大に受け止めるならば、一刻も早く対策に向けた取組を始めるべきであります。
区長は平成19年第4回定例会の所信表明の中で、『来年度からの新たな取組として、放課後における児童の健全育成に向けて可能な限り小学校内に子どもクラブを設置していきます』と述べられています。この3ヵ年プランでは、緊急に子どもクラブを整備する学校を6校とし、そのうち今日までに蔵前小学校、富士小学校の2校は実現いたしましたが、残りの4校は来年度中に計画通り実現できるのか心配であります。景気の低迷により女性の就労希望者が増えている背景を考えると、そのほかの子どもクラブでも潜在的需要は高いと見られます。すでに定員を上回るクラブ運営をしている現状を直視すると、子どもクラブ全体的の受け入れ態勢をどうするのか問題を突きつけられているわけです。
子どもの安全を考えれば、区長の発言の通り、小学校内に子どもクラブを整備する必要があると考えますが、なかなか整備が進まない理由は何なのですか? 例えば、子どもクラブの無い小学校では、1年生だけでもスペースを確保し開設する、基準に合えば民間の建物も視野に入れるなど工夫と努力が必要です。平成25年度導入の「こども・子育て新システム」を視野に入れ、6年生までの受け入れを可能にするためにも、少なくとも緊急3ヵ年プラン通り整備が進むよう強く要請いたします。教育長の覚悟の程をお聞かせ下さい。
児童生徒の体力の低下の認識と、向上の為の取り組みについて
文部科学省が行っている「体力・運動能力調査」の結果によると子どもの体力・運動能力は、昭和60年頃と比較すると下がっている傾向が続いています。ことに、平成21年度の体力・運動能力調査の台東区の結果は体力点合計で小学校5年男子・女子共に全国平均を下回る東京都平均をさらに下回る状況にあります。中学校2年男子・女子でも体力点合計で、同様の状況にあり見過ごすことは出来ません。
一方 身長・体重・座高は、小学校5年男女、中学校2年男女共に全国平均を上回って、体格は大きくなっていることが分かります。つまり、身体能力の低下が深刻な状況であることを示しているといえます。
子どもの体力の低下の原因は、保護者や大人の認識の中で学力を重視するあまり、外遊びやスポーツを軽視する傾向が強まったこと、生活が便利になり、生活様式が変化して、日常生活の中で、体を動かす機会が減少し運動不足が常態化していることがうかがえます。さらに、睡眠時間や食生活などの生活習慣の乱れ、道路や広場などの身近な遊び場の減少、塾や習い事で遊ぶ時間、遊ぶ仲間の減少により運動習慣が未定着となっていることが考えられます。
しかし、ここ数年の全国学力・学習状況調査の結果と体力・運動能力調査の関係を比較してみると、学力と体力には相関関係があることが分かりました。学力の高い地域は、体力も高いというのです。こうした結果が示され関係者の体力についての感心が高まったことは喜ばしい事であります。
各学校の取り組みもあって、近年は横ばいの傾向ではありますが、昭和60年頃とくらべて、まだまだ大変に低い水準と言えます。
体力テストだけでは測れない問題、たとえば、走ると転びやすい、転んでも手が出ないで顔面を打ってしまう、あるいは まっすぐ走れないなどの課題を指摘する声もあります。こうした課題は、単に筋力の低下だけではなく、運動の絶対量の不足により、体の使い方や平衡感覚が養われていないことが原因と考えられます。更に、肥満などの生活習慣病や立ちくらみなどの症状を示す子、ストレスの慢性化や抵抗力の低下が心理的な不調の原因になるとの指摘もあります。
体力は人間のあらゆる活動の源であり、健康な生活を営む上でも、また物事に取り組む意欲や気力といった精神面の充実にも深く関わっており、人間の健全な発達・成長を支え、より豊かで充実した生活を送る上で大変重要なものです。テストで計測できる体力の低下は一つの指標にすぎませんが、体力の低下は単に競技力の低下に止まらず、気力や意欲、我慢や思いやり、規範意識の低下など、健全な精神を養う事に対する懸念を感じとらなければならないと考えます。
このような認識に立つと体力向上の取り組は、学力向上と共に大きな課題であり、都会ならではの問題もあるとは思いますが全力で推進すべきと考えます。
しかし運動は体や精神を鍛える重要な取り組みでありますがその成果は、すぐに目に見えて現れるものではありません。意図的計画的に息の長い取り組みが求められます。教育長は決算委員会の太田議員の総括質問の答弁で、体力向上の重要性の認識を示された上で「更に、今年度より各学校が「一校一取組」を明確にし、確かな実践を行うよう指導もいたしております」と答えています。指導に答えて各学校で、目標を持って、継続的、計画的に取り組まれている事を期待いたしますが、具体的に小学校、中学校でどのような目標や計画を持って進めているのか? 実施している学校は何校あるのか?お答え下さい。
また、課題があるとすれば何なのか、対策としてどのような支援を考えているのかお示し下さい。
また、学校のみならず、家庭や地域の方々にも運動の必要性を理解して頂くことも非常に重要だと思います。
バランスの良い食事、十分な睡眠などの生活習慣や運動習慣を定着することは、大人にとっても健康な生活に繋がります。子どもと一緒に、歩いたり、縄跳びをしたり、体操をしたり具体的な運動の機会を増やす提案を、各学校から家庭や地域に発信し理解を得ることです。文部科学省は「子どもの体力向上」ホームページや親子元気アップ事業などを推進し楽しみながら、目標を持って取り組む提案をしています。
これらも参考にしながら、台東区ならではの子どもの体力向上作戦を、家庭や地域の理解と協力を得て進めることが必要と考えます。教育長のご認識と今後の対策をお示し下さい。
幼児教育について
我が国で古くから言い伝えられている「三つ子の魂百までも」あるいはローバート・フルガムの「人生の生きる知恵は、すべて幼稚園の砂場で学んだ」という格言は、鈴木議長が幼稚園周年式典の祝辞中で引用されていましたが
正に、幼児期の教育が、その後の人間としての行き方を大きく左右する重要なものである事を見事に表現しているフレーズであります。
人の一生において,幼児期は,心情,意欲,態度,基本的生活習慣など,生涯にわたる人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期であります。幼児は,生活や遊びといった具体的な体験を通して,情緒的・知的な発達,あるいは社会性を身に付け,人間として,社会の一員として,より良く生きるための基礎を獲得していくのです。また,幼児期は,知的・感情的な面でも,また人間関係の面でも,日々急速に成長する時期でもあります。この時期に経験しておかなければならないことを十分に行わせることは,将来,人間として充実した生活を送る上で極めて大切であります。
したがって,我々大人は,幼児期における教育が,その後の人間としての生き方を大きく左右する重要なものであることを認識し,子どもの育ちについて常に関心を払うことが必要となります。
しかしながら近年、女性の社会進出が一般的になり、共働き世帯が今後一層増加していくことは間違いありません。今や仕事と子育ての両立は時代の要請であり、そのための支援は行政の責務であるといっても過言ではないと思います。これまで、幼稚園は,希望するすべての3歳以上の幼児を対象とした教育施設として,保育所は,保護者の就労等で「保育に欠ける」0~5歳児を対象とした児童福祉施設として,異なった目的・機能等を持つ施設として,それぞれの整備・充実を図ってきましたが、平成18年幼児教育振興アクションプログラムの中で幼稚園,認定こども園は,幼児教育の中核としての役割を担うもので、幼児教育全体の質の向上を図ることをねらいとするとして、幼保一元化の推進を打ち出しました。先進的に取り組んできた本区としては、保育ニーズの受け皿としての確保と共に全ての幼児に充実した幼児教育を提供するというこのプログラムに、賛同するものであります。幼児の健全育成には、家庭における親の教育も大変重要であるとかんがえますので、家庭教育の振興と相俟った「子ども園構想」の実現と充実を強く望んでおります。同時に私は教育方法についても見直しや改善が急がれていると考えます。
近年の幼児の育ちについては,基本的な生活習慣や態度が身に付いていない,他者とのかかわりが苦手である,自制心や耐性,規範意識が十分に育っていない,運動能力が低下しているなどの課題が指摘されています。
また,小学校1年生などの教室において,学習に集中できない,教員の話が聞けずに授業が成立しないなど学級がうまく機能しない状況が見られます。
加えて,近年の子どもたちは,多くの情報に囲まれた環境にいるため,世の中についての知識は増えているものの,その知識は断片的で受け身的なものが多く,学びに対する意欲や関心が低いとの指摘もあります。
一般的に幼児教育は、幼稚園の教育要領に沿って、遊具、教材などの意図的な学びの環境の下で幼児の自発的な遊びや、生活体験を通して、望ましい心情、意欲、態度を養うものであります。幼児の主体性と気づきが重視されていることやその重要性についてはよく承知しています。しかし今述べた課題を思い致す時、果たしてこのままで良いのか?と思うのであります。
家庭や地域の教育力が機能していた時代は、ある程度の生活習慣や我慢することなどが出来る幼児が幼稚園等に就園して参りました。またそれを前提に幼児教育のカリキュラムが作られていたと私は思います。しかし現在は家庭や地域の教育力は低下し前提が崩れてしまった以上、幼児の実態や課題を踏まえたカリキュラムに見直していくことも必要なのではないでしょうか。
教育委員会では、幼児教育の共通カリキュラムを策定していると聞いていますが幼児の実態や課題を踏まえた検討をされているのでしょうか。今までのカリキュラムとどういう違いが出てくるのでしょうかお答え下さい。
観光とパンダ受け入れについて
先日、中国系企業のある家電量販店が銀座のデパートの中にオープンしたことが、話題になりました、秋葉原にも店舗のある企業だそうですが、銀座に進出した狙いは、東京の中心、世界の観光客が集まる銀座がより魅力のある土地柄なのだそうです。銀座の老舗デパートに家電量販店はなじまないと感じる人もいるかも知れませんが、外国人観光客にはどうでしょうか?便利で良いということになると考えられます。今や各地域で観光客をいかに取り込むか?よりアピールするにはどうしたら良いか?熾烈な競争が繰り広げられているということです。
民間・役所が一緒になって頑張っていると、報道されたのは、B-1グランプリに出場の各自治体です。優勝すると一挙に観光客が増えてその経済効果は、数十億円といわれ年々大きな話題となっています。地方都市の経済環境の厳しさを考えればチャレンジする価値はある。全国に知らしめるチャンスということになるのでしょう。
確かに旅先の楽しみの一つは食べることで、先日産業建設委員会で視察に行った下関市では、下関では「ふぐ・うに・くじら・いか・アンコウ」が美味しいので食べていってくださいと市役所に方に進められましたし、隣の北九州市門司港の視察では、移築された国指定重要文化財となっている旧門司三井倶楽部の建物の中で名物焼きカレーが昼食に出されました。博多では博多ラーメン・めんたいこが有名と確かに、観光の観点からみると食べ物は重要な要素だと改めて気づかされました。翻って台東区上野・浅草は何をアピールするのだろうかと。食べる楽しみと、買いたいお土産があることは、滞在時間を長くし、経済効果をより高めることは確かで、これこそ観光産業の牽引役であり、素通りされない秘訣ではないかと思いました。民間の努力によるところが大きい分野でありますが、観光立区を目指すならば、それぞれの関係団体や地域の協力を求めて考えていく必要があると思いますが区長のお考えをお聞かせ下さい。
また、兼ねてより上野観光連盟を中心に区議会、台東区あげて要望して参りました、上野動物園にパンダが来園することが決まり実現の運びとなりました。7月下旬には、中国野生動物保護協会と東京都の間で、協力協定書の取り交わしが行われ、来年の早い時期に来園すると聞いていまし、東京都の職員が現地中国に派遣されているとも聞いています。
上野動物園では1972年以来36年間にわたりパンダを飼育してきましたが、2008年ジャイアントパンダ リンリンが死亡して以来、パンダ受け入れは東京の子どもたちの希望でもあり、本区の幼稚園・小学校の子どもたちも東京都知事に手紙を書いて、パンダの一日も早い来園を要望しました。そんな多くの方々願いが実を結んだパンダの再来園はいつごろになるのでしょうか?また、迎え入れるに当たり、東京都や動物園と連携し、上野観光連盟や各団体とも協力して歓迎の気持ちをアピールし、発信していく必要があると思います。区ではどのような取組を考えているのかお聞かせ下さい。