平成21年第2回定例会 一般質問
平成21年第2回定例会 一般質問
平成21年 台東区議会 第2回定例会 一般質問
平成21年6月10日
自由民主党 高森 喜美子
自民党の高森喜美子でございます。お許しを頂きまして、通告の順に従い質問いたします。
初めに、国立西洋美術館世界遺産登録の推進と、関連施策について伺います。
区長は所信表明でも述べておられまして、世界遺産登録に向け力強い決意を感じました。
はじまりは、2007年春にル・コルビュジエの建築物をまとめて世界遺産に登録しようとフランス政府が、日本、スイス、ベルギー、ドイツ、アルゼンチン、インド、に参加を呼びかけ、最終的にインドを除く6各国22件が参加を決めました。2008年には各国の推薦書を一括してフランス政府が、世界遺産候補としてユネスコに推薦し「ル・コルビュジエの建築と都市計画」として世界遺産の暫定リストに登録されたのです。
本区ではいち早く区も議会も上野地域も推進のための組織を作り官民上げて、のぼり旗や横断幕を町に掲げ、応援体制を作って参りました。
ことに上野地区委員会は会長を中心に、昨年の夏には寛永寺清水堂でフランス大使館より担当者を招き、茶道連盟の協力も得て、野立ての茶会を開いたり、イコモスによる現地調査団を受け入れるなど、民間ならではの活動を展開して各国と友好的関係を作って来たことは、高く評価できると存じます。また、区長、議長と共に会長がパリに赴き、フランス文化省、ユネスコ、コルビュジエ財団、パリ観光局を訪ねたことは、住民の文化に対する理解と情熱の高さをアピール出来、日本の高い評価に繋がったと思います。
この度、国際記念物遺跡会議(イコモス)より「記載延期」の勧告が出ましたが、決定は6月22日からスペインで開催される世界遺産会議で22各国の委員による審議の上、決議されますので、よりよい結論が出るようにロビー活動など、理解を得るための努力が必要といわれています。島根県大田市の石見銀山はイコモスの勧告を覆し、記載決定を決議された例です。勧告から決定まで短い間に各国にどう働きかけたのか?理解を得るためどのような活動をしたのか?島根県や太田市の担当者に聞いてみていただき、参考にしては如何でしょうか?
本区においても世界遺産登録推室が置かれ、対外的にも分かりやすい体制が整いました。昨日の「世界遺産登録推進活動報告会」での報告では、22日から開催される第33回世界遺産委員会に、日本政府代表団のメンバーとして台東区より神子副区長、和田次長、石山会長がスペインのセビリアへ行かれるとの事です。是非大きな成果を挙げて頂きますよう期待しております。そして、区は今後、「記載延期」も視野に入れ、どのように世界遺産登録に向けた取り組みを行うのか、お考えをお示し下さい。
一方で、国立西洋美術館の世界遺産登録については、フランス政府の呼びかけによるものであり、また、各国にまたがる作品の一括登録は前例がなく、これまでの様に、一目で世界遺産にふさわしいと認識できるものでないことも区民に分かりにくい点であります。
私も4月に、区長、議長、会長と共にパリに行き、公式訪問に同行させていただき、認識が深まった点があります。コルビュジエの建築を幾つも見たこと、フランス国民の文化遺産に対する認識の深さです。
ル・コルビュジエは近代建築の祖と言われ、それまでの建築の伝統的形式主義と決別します。コルビュジエは人間の生活を中心に設計し、鉄筋コンクリートを使い柱と床をつなぎ空間を自由に組み立てる様式で、窓を横に長く開け、外の光や空気を取り入れるなど斬新なものでした。また、あらゆる階層の人のために建築し、その広がりは世界にまたがっていることも特徴です。今、私たちが暮らす建築物の基本的考え方を作り上げたコルビュジエはフランス国民に支持され、亡くなったときには、ルーブル美術館の中庭で国葬が行われたと聞きました。コルビュジエ作品をどう評価するのか。文化遺産の意味そのものが問われています。一目で分かる建物だけが文化遺産なのかと。コルビュジエの世界文化遺産の意味を探ることは、文化遺産についての認識を深め、私たちの地域の文化に対する深い愛着と理解を生むことに繋がること思います。区民への世界文化遺産についての啓発を進め、区民の理解が胸に落ちる物となるよう、取り組んでいただきたいのですが如何ですか?
もう一方で世界遺産に登録記載されたときのことを考えると、進めて頂きたいいくつかの課題があります。
まず、上野駅公園口の改札口、区道、バス駐車場、など多くの人が利用するのに相応しい整備が必要と考えます。現状は改札口前に人があふれ、信号待ちのスペースが少なく混雑します。道路は一方通行ですが観光バスが道路の片側に並んでしまうと、輪王寺前の信号のある交差点がスムースに通行できない状況になってしまいます。さらに多くの人が集まることも念頭に、現状を分析し安全性、快適性の確保と、世界遺産登録に向けた整備の為の、東京都・JR・台東区による協議機関を作り検討を進めて頂きたいのですが如何ですか?
また、近年、世界各国では、文化・観光は産業として捉え力を入れてきています。過去の遺産や、文化や歴史のすばらしさをアピールし観光客を集め、関係する産業に結びつけ街の活力にしようと努力しているのです。東京の観光地といえば国の内外を問わず、浅草が第一に挙げられます。上野の文化ゾーン、公園のグランドデザインによる整備、さらにスカイツリーの開業が予定されています。数年後さらに世界遺産が実現すれば文化観光を内外にアピールする絶好の地域に台東区はなると考えます。
住民と行政の共通認識の上に、インフラ整備、環境や過去の遺産の保全、観光客へのサービスの向上、情報の発信などやるべき事は沢山あります。
今年度は、組織改正で文化産業観光部がスタートし、文化観光をバックアップする体制が産業という視点からも強化されました。世界遺産登録実現を見据え、戦略的観光施策を今から考え、準備して頂きたいのですが区長のお考えをお示し下さい?
区立図書館について
20年度の個別外部監査で図書館事業が取り上げられ、この度報告書が提出されました。
今回の外部監査により、様々な指摘がありましたが、ことに気になる点についてお伺いいたします。図書館事業は、全国で地方自治体により取り組まれておりますが、意欲的に取り組む例を見ますと、その地域の特性を十分に考え進められていると感じます。
台東区は特に東京の中でも古くからの伝統と、歴史と、文化にいろどられ、伝統産業を初め、地場産業から商業、各企業のオフィスなども多く活力のある地域です。地域の持つ文化性の違いの有る、いわば個性的な街であります。図書館はそうした地域の、生涯学習の拠点であり、子供や学生の学習の支援の場であり、産業の知的部分の支援役でもあると考えます。現在行われている各館のありかたは貸し出し業務を中心に、各館共いわば中央図書館の小型版であり特色がありません。現在、本の検索は、図書館の利用検索機のほかにも、ホームページや携帯電話からでも、蔵書検索や、予約が行えるシステムになっていますし、図書館、まちかど図書館などの計7館が、ネットワークで結ばれて、比較的簡単です。ならば、それぞれの図書館に特色を持たせ、地域特性にもあった台東区らしい図書館になることは可能であり、限られた図書予算を効率的に、有効に活用できると考えます。「台東区立図書館資料収集方針」は平成5年の改定以後、改定されておらず、早急な見直しが必要です。文部科学省が平成13年に示した「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」では、図書館の目的、社会的使命の達成の為、適切な指標を策定し図書館サービスを計画的に実施するよう求めていますが、当然のことと思います。是非、計画目標をたて、特色ある図書館、蔵書の分野別把握と選定・評価、区民ニーズの調査などを行い、P・D・C・Aのマネージメントサイクルを活用し、内部での検討にとどまらず、区民に分かりやすく進捗状況も公表して頂きたいのですが如何ですか?
つぎにレファレンスサービスについてお伺いいたします。
図書館業務は貸し出し業務の他に、もう一つの柱と言うべき仕事にレファレンスサービスがあります。必要な資料を探す手伝いや、必要な文献を探す手伝いをするサービスです。これも図書館司書の専門性が問われ、そのスキルを向上して住民の手伝いが出来る人材が配置されていること、さらにレファレンスコーナーのような、スペースも必要です。またメールや、FAXでの問い合わせに対応するようことなど、このサービスの充実は、図書館が真に生涯学習の核となり、産業の支援機能も果たせる事になると思いますが、充実させるためどのような取り組みをしますか?お答え下さい。
小・中学校の学校図書館のデーターベース化について
小中学校の学校図書館については、充実するように求めて参りましたが、予算の増額など支援の体制が整ってきました。学校の図書は学校ごとに管理されていますが、各図書館と学校との連携も進んできていますので、学校の蔵書をデーターベース化することにより、さらにネットワークを広げることができます。20年5月現在で、全国レベルでは小学校45.1% 中学校45.4%と進んでいて、より効率的に限られた図書予算を使うよう工夫しています。今後の計画の中では学校図書館の蔵書についてもデーターベース化を進めネットワークで結び、読書にたいする興味をさらに広げる必要があると思いますが如何ですか?
以上が私の提案と、質問です、積極的で明快な答弁を期待し、終わります。ありがとうございました。