平成21年第3回定例会 平成20年度決算総括質問

平成21年第3回定例会 平成20年度決算総括質問

平成21年 第3回定例会 20年度決算審査特別委員会 総括質問

平成21年10月19日

自由民主党 高森喜美子

平成20年度は長期総合計画後半の行政計画初年度であり、積極的に目的実現に向けて事業展開されました。上野中央通り地下駐車場整備、リバーサイドスポーツセンター体育館整備、台東病院整備、清川二丁目福祉施設整備、ことぶきこども園施設整備、認証保育所保育料助成、商店街振興策の充実など、推進されたことを評価いたします。昨年秋以降の世界的経済不況から区内中小企業を支援する為、緊急経済対策や経営相談を実施したことは、時期を得た対応であったと高く評価いたします。

 20年度一般会計決算額は、歳入935億107万9千円、歳出892億3558万4千円、

共に前年を上回り、実質収支額は42億5126万2千円でした。実質収支比率は7.4%で前年より2.9ポイント上回り、経常収支比率は75.7%と前年を下回る順調な財政運営でした。ことに納税義務者の増などにより、特別区民税が前年度比15億円増、特別区交付金が前年度比で8億円の増収になったことは特徴的でありました。特別区債現在高は351億2千万円で前年度比較5億2千万円の減、積立基金現在高351億2千万円で、前年度比各33億1千万円の増となっていますが、区民一人当たり区債現在高は23区中22位、公債費率8.6%で20位と比較的高い状態にあり今後とも慎重な財政運営が望まれます。以上平成20年度台東区一般会計歳入歳出決算、他7会計を認定する立場から、以下の点について総括質問を致します。

1 始めに、区長のリーダーシップについて伺います。

平成20年度に措いてもそうですが、ここ数年の社会状況は世界規模でダイナミックに変化していて、私たちの生活にも区政にも様々な影響を及ぼします。アメリカのリーマンブラザースの破綻はアメリカ経済の混乱をまねき、日本ではGDP前年対比マイナス12%、百年に一度といわれる打撃となって、企業や国民の生活に大きな影響を与えました。工場が止まり、失業者を支援するテント村の出現も記憶に新しいところです。国は大きな財政投資と失業対策を打ち、本区においても緊急融資の申し込みに長い列が出来ました。経済だけでなく、世界共通の課題として、環境問題、テロ対策、エネルギー問題を抱えています。アメリカではオバマ大統領が誕生し、日本でも政権が変わり政策の変化は、区政にも影響を及ぼすことは必至です。思いも由らない変化には、良いことも有りました。フランス発の国立西洋美術館の世界遺産登録へ推薦という情報でした。このようにいわば私たちの予想や、区の計画や努力を超えて動いている世の中の変化に、適切に対応するためには、様々な情報にアンテナを張り、鋭い感性と、すばやい決断、実行する勇気など区長のリーダーシップに期待します。また機敏かつ的確に対応する組織として人材の配置、財源の確保について区長の決意と見解をお示し下さい。

 次に、本区の特徴的課題について伺います。国立西洋美術館の世界遺産登録の推進については、千載一遇のチャンスと捉え、街の皆さんの組織と共に区長がフランスにも赴き、先頭に立って取り組んできたことは高く評価いたします。今後も東京都・JR,と協議し国立西洋美術館周辺のハードの整備、文化遺産、ル・コルビジェの理解などのソフトの取り組みが必要です。また上野動物園へのパンダの受け入れも子供たちの願いであり、広く東京および周辺の地域から上野を訪れる人々の期待するところです。さらに、ホームレス問題は長年にわたる大きな課題で本区の施策に様々に影響する特有の問題です。同じ問題を抱える大阪の谷川秀善参議院議員、東京は保坂三蔵前参議院議員を中心に、都・区、府・市の議員でホームレス問題議員連盟を作り毎年、国に要望書を直接届け、意見交換をしています。本区の実情をつぶさに伝え、国や都の取り組みをさらに促す必要が有ると考えます。このような国や東京都と交渉が必要な、本区ならではの課題は区長の顔の見える交渉、活躍を期待するところです。ことにパンダの受け入れについては鈴木茂議長の活躍により23区議長会でも「上野動物園でのパンダ飼育を求める要望」が議決されたところです。是非 台東区を代表する区長に頑張って頂きたいと思います、区長の決意と御所見をお示し下さい。

 区政運営については、区長の指揮監督の下、事務事業評価、外部監査の導入と、より客観的手法も取り入れ適切な運営に努めていることは評価いたしております。しかしながら、今後の本区の課題は今年の第1回定例会でも取り上げましたが、老朽化が進む区有施設のリニュアル、や保全に多額の費用が必要になること、少子化対策、さらに進む高齢化への対策と緊急の課題に多くの費用を要することを考える時、限られた財源をさらに有効に、必要なところに振り向ける努力が求められます。事業の見直しに当たっては、真に行政が行うべき仕事とは何か?原点に戻り判断すること。次の時代を見据え今必要な事業は何かを判断すること。などが重要な視点と考えます。区長のお考えと今後の取り組みについてお示し下さい。

2 教育について伺います

① 始めに、幼稚園保育園と小学校、小学校と中学校の連携について伺います。

小1ギャップ、中1ギャップといわれる、環境の変化による不安、不慣れな学習体制、先生、友達関係の不安を取り除く為に、幼稚園保育園と小学校の連携や小学校と中学校との連携について、決算委員会の中でも取り組んでいるとの答弁がありました。今、各地域でもこのような取り組みが進められています。昨年区民文教委員会で視察に行った、呉市でも地域を分けて連携の仕組みを作り成果を挙げていました。特に進学先の様子が事前に子どもたちに認識され、不安が和らぐことにより、不登校の数がかなり減ったとのことでした。将来の学校の様子が子どもなりにイメージできることは、覚悟もでき希望に繋がり、教育効果が上がる必要な取り組みと考えます。学校の連携、教員間の話し合いや、実施する体制は十分ですか?どのような目標を持って進めていますか?今後の具体的取り組みについてお示し下さい。

②環境教育の成果と更なる推進について伺います。

環境問題は、地球温暖化とCO2削減、自然環境保全やゴミ問題、都市の緑化、と内容は多岐に渡り、アプローチの仕方もいろいろありますが、身近な問題であるだけに興味を持って楽しく学べる課題でも有ります。各学年の理解にあった環境についての教育が進められていると思います。しかし新しい分野でもあるだけに環境についての知識は胸に落ちるものになっているのか、自然と触れ合う体験学習は興味が広がり楽しいものと思いますがどのような成果があり、不十分な点は何か?御所見をお示し下さい。家庭での生活体験や旅行や外出体験は環境教育にどのように位置づけているのか?今後の環境教育の課題はなにかお示し下さい。

③ 食育の現状と今後の取り組みの方向性について伺います。

20年度食育は、各学校で何らかの取り組みが始まっていると聞いています。食べることは楽しみの一つでありますが、「食」を通して、食事の大切さ、健康、食材の生産、料理、マナー、国により違う食文化、そして食べられる事への感謝、など様々な取り組みが考えられますが、各学校では十分に取り組めましたか?内容を検討しよりよい取り組みになるように学校相互に情報交換も必要ですし、子どもたちの「食」にたいする意識の変化も家族と共有したいものです。こんごも予算措置も含め積極的に推進するよう促すべきと考えます。今後の方向性と教育長のご見解をお示し下さい。

④ 図書館の充実について伺います。

20年度は、各学校の図書予算が別途増額され充実に向け進むことが出来ました。また図書ボランティアも配置され図書環境の整いつつあることを高く評価いたします。今年度は、提案いたしました、図書のデーターベース化も進行し図書館の現状の把握が出きる様になります。学校図書標準の達成、図書室、図書コーナーの環境整備、図書館相互のデーター連携など、読書環境の整備は今後の課題ですがどのように進めますか?方針をお示し下さい。また上野、御徒町、池之端の地域は図書館がなく、不便地域として認識されていると思います。今後ともご努力頂き、整備すべきと考えますが教育長のご所見をお聞かせ下さい

 

⑤  
学力向上の取り組みの課題と今後の対策について伺います。

平成二十年度、学力向上施策は1億5240万円余の決算額で、内容は学力向上ティーチァー、大学生が先生、土曜スクール、英語教育の充実、小学校英語教育の推進、です。しかし、全国学力テストの結果や他区との比較のなかで、これまでの施策をどう評価し、課題はどこにあると考えているのかお聞かせ下さい。また、文部科学省が公表した全国体力テストでも全国平均と比べ、東京は小学校、中学校共に低く、下位に属しています。学力、体力共に向上の為の努力が急務と考えます。各学校の課題の分析と、的確な具体的対策について、教育長のご所見をお示し下さい。

3 高齢者政策に2点について質問いたします。

①  
始めに、地域包括支援センターの機能と体制についてであります。

本区は高齢化率が高く24%を上回り、さらに、一人暮らし高齢者の割合も東京都の平均

18.8%と比べ本区は31.2%と推計されかなり高い割合にあります。また高齢者のみの世帯も増えているのが特徴であるだけに、高齢者の在宅生活を支える地域包括支援センターの役割は高まっています。センターでの取り組みが役に立ち、喜ばれるものになっているのか、職員のスキルアップは図られているのか、人材の確保は適切かといった機能の強化が課題です。また、包括支援センターだけでは出来ないサービス提供、医療機関との連携、歯科医師、薬剤師との連携を、利用者の希望に叶うよう調整する体制を整える必要が有ると考えます。区長のご見解をお示し下さい。

  
次に特別養護老人ホームの整備について伺います。

本区は私の調査によりますと、特別養護老人ホームの整備が23区の中でも遅れていて、整備率は下位にある状況です。清川2丁目福祉施設の整備が終わっても、都の整備目標に達しないと思われます。一人暮らしの高齢者が多いこと、高齢者世帯が増加していることを思うと、施設サービスの需要はさらに増えると予想されます。現在でも400人の方が特養の待機待ちの状態で、これから申し込もうとする方にとっては絶望的にも思える数字なのです。都心に有って地代が高く整備しにくい事情は分かりますが、同じ条件の都心区も整備の努力をされ住民のニーズに応えているのです。台東区の高齢者が、認知症、老老介護となっても、将来に不安を持つことの無いように備えて欲しいのです。老朽化している特別養護老人ホーム浅草の建て替も視野に入れ、今後の特別養護老人ホームの整備について方向性をお示し下さい。