令和4年第三回定例会 本会議一般質問

令和4年第三回定例会 本会議一般質問

令和4年第三回定例会 本会議一般質問

令和4年9月20日

 自由民主党の高森喜美子でございます。台東区議会第3回定例会に当たり一般質問をさせて頂きます。

1.  区有施設における節電・エネルギー対策について

 今年は私の想像を超える事態が起こっています。一つはロシアのウクライナ侵攻で、戦争の悲惨さに胸を痛めると同時に、世界の経済・エネルギー・食料に影響しています。また、世界各地の気候変動による日照り・干ばつ、洪水は農作物の不作で値上がりを招いています。さらに食品や飼料、エネルギーを輸入に頼る日本にとって円安が物価に大きく影響してきています。そして生活に影響している新型コロナウイルス感染症はウイルスが変異を続け感染への警戒を緩める事は出来ない状況です。
 本区では、第2回定例会で特別給付金や公衆浴場燃料費支援を決め、負担軽減対策を実施しています。今定例会の冒頭での区長は、原油価格・物価高騰への対応や、区の魅力の発信と地域活性化についてきめ細かく説明され、子ども・子育て支援について一人一人に応じた対応の充実や施設整備など具体的対策について述べられ、区民への力強いメッセージとなり、必要な対策が示された高く評価いたします。最近の燃料・物価の急激な上昇は日本だけではなく国際的な経済の荒波であり、この先も国や都と連携し区民生活を機敏に支えて頂き、区独自の対応策も充実して頂きたいと思います。
 さて、今年は6月の終わり頃に梅雨が明けたような気温上昇となり、天気予報等を踏まえた電力供給見通しは、夕方の時間帯で予備率5%を下回る見込みとなり、経済産業省は6月27日東京電力管内に初めて「電力ひっ迫注意報」を発令しました。電力ひっ迫警報に至る前に、自治体・企業と連絡体制を作り、広く住民に節電を呼びかける取り組みです。今年3月16日に福島県沖で発生した震度6強の地震で14基の火力発電所が緊急停止し再稼働に時間がかかり、年内には修理が完了しない見通しとなっています。この夏は他の電力会社からの融通でひっ迫状態は免れましたが、冬に向かい電力需要は増す見込みであり、厳しい状態は続きます。本区でも7月の公報で区民へ、熱中症対策を取りながら節電を呼びかけていました。これからも、節電・省エネルギー対策は待ったなしの課題です。今回の補正予算で、区有施設における光熱費高騰への対応として予備費に1億円を増額しています。準備の必要は分かりますが、電力ひっ迫の現状では、区有施設の節電・省エネルギー対策を大きく前進させる必要があると思います。すでにクールビズ、室温28℃の目安、照明の一部消灯を実施し、LED化も推進していることは承知していますが、区民とも共有していく努力が大切です。各家庭で節電の取り組みを進めるに当たっては、室温も一つの目安となると思います。そこで、デジタル表示の温度計を設置して区有施設の温度設定による努力を「見える化」し、来庁者に対してより一層の節電に対する意識啓発を図っては如何でしょうか?また、これを機会に退庁時間を早める努力に取り組んで頂きたいのです。午後10時過ぎに浅草通を通る時、庁舎の部屋の明かりがついていることをよく見かけます。まだ仕事をしているのだと、ご苦労を思うと同時に「ワークライフバランス」という言葉が浮かびます。区が「ノー残業デー・ノー残業ウイーク」の取り組みをしていることは承知していますが、節電という命題を契機に、業務の方法・質・量を見直し働き方改革を進め、節電にも寄与するよう、限定的に週一日は午後7時に全員退庁する日を決め実施しては如何でしょうか?区長のご所見をお聞かせください。

2. 次に新型コロナウイルス感染症について伺います。

 7月8月の感染拡大はこれまでにない感染者数となり、新型コロナウイルス感染症の対応の難しさを感じました。5,6月の状況は感染者数が減り、ワクチンの効果と思われたのもつかの間、感染力の強いオミクロン株への変異でした。感染力の強さはあるものの、感染しても重症化が少ないことから、行動制限も緩められ、感染対策をしながら通常の生活が戻ってきたように思われました。しかし、子どもや若い世代の感染が増え、家庭内での感染が問題となっています。専門家はこの冬、コロナとインフルエンザの同時流行が予測されるとして、感染レベルが下がっているこの時期に、第8波に備えるよう警鐘をならしています。感染者が急激に増えた際、発熱外来での医師会・病院・医療関係者のご尽力に感謝申し上げます。同時に保健所の業務も大変であったと聞いています。今後保健所の体制確保と陽性者全数把握見直し後の対応はどのようになるのでしょうか?軽症であっても、不安な事態への対応窓口は確保して頂きたいと存じます。そして何よりも私たち一人一人が、自分の身は自分で守る、大切な家族の健康を守るとの共通認識の下、その手段としてのワクチン接種が大切だと思います。安全性のついては、日本だけでなく世界のデータ分析を踏まえ、幼児から、高齢者までの接種を進めています。高齢者の接種率は高くなっていますが。子どもや若い世代が低調です。冬の感染拡大に備える為に、オミクロン株対応ワクチンの確保と接種開始の確実な実施を望みます。希望者が早期の接種ができるよう大規模会場の充実、若い方々や、共働き世帯の子どもが接種できる工夫をなお一層進めて頂きたいのですが如何でしょうか?区長のご所見をお聞かせ下さい。

3. 子供の権利保護について

 こども基本条例の制定についてです。
 「こども基本法」が今年6月15日に国会で可決成立し、令和5年4月1日に公布されます。
 さかのぼること28年前、子どもの権利条約が、1989年の第44回国連総会において採択され、1990年に発効。日本は1994年に批准しました。日本には「児童福祉法」「母子保健法」「教育基本法」「少年法」など子どもに関わる様々な個別の法律はあり、施策が進められてきました。しかし国の大きな柱である少子化対策の成果は出生率の向上に繋がらず、児童虐待やいじめ・不登校・自殺など子供を取り巻く環境は社会問題となってきています。国はこどもをまんなかに据え、省庁横断的に施策を展開していく為、令和5年4月に新たに子ども家庭庁の設置を決めました。そして子どもをめぐる問題を抜本的に解決し、子どもの権利を、包括的に保障する「こども基本法」が作られたのです。
 本区においては、次世代育成支援計画を策定し現在は令和2年に策定された第2期計画を進行中です。第1期計画を継承しつつ「子供の育ちと若者の自立を支え、すべての子供・若者が成長し輝くまち たいとう ~地域社会全体で子供を育み、若者を支えるまちを目指して~」という基本理念のもと、基本構想や長期総合計画等他の計画と整合性を図りつつ、新たな課題解決を図りながら総合的に進められていることは高く評価いたします。さらに、北上野2丁目に計画されている障害者・こども・若者を総合的に支援する施設は、こどもまんなか政策を進めようとする国の方向性に沿ており、総合的取組が期待されています。また基礎自治体に、児童相談所の設置ができるようになり、23区ではすでに6区で開設されており、本区でも、児童相談所の設置について検討を始めています。日本堤子ども家庭支援センターで、東京都・台東区・中央区が共同で児童相談対応等を行う都区児童相談共同運営モデル事業を実施しています。これから子供に関する施策が充実し、組織横断的に支援できる体制が整えられると期待するのですが、同時に「台東区こども基本条例」の検討も進めて頂きたいと存じます。東京都では令和3年に「東京都こども基本条例」を定め施行しています。こども基本法が、来年4月から公布されますのでその理念を踏まえ、台東区のこども施策の基本理念を条例で示し、推進していくことは重要であると考えます。これまでに、区議会各会派より子供の権利条約や基本条例、主権者教育など子供の権利に関して同様の質問がされており、問題意識は共有されていると感じています。今後の子供施策の推進を図る上で「台東区こども基本条例」について区長のご所見をお聞かせください。

 次に子供の声を施策に反映するための取り組みについて伺います。行政の仕事は言うまでもなく、全区民に関わる事柄を住民の意見を聞き、課題に立ち向かい、よき将来を目指して努力して頂いていることは承知しています。これまで、私は委員会の質疑の時に、「子供の意見は聞きましたか」と質問しています。なかなか良い答弁は無かったと感じています。最近では旧坂本小学校跡地の暫定活用において、ボール遊びの出来る広場をつくるとの報告がありました。坂本小学校は廃校して長年立っていますので地域の子供たちは、それぞれほかの学校に現在通学しているのですが、保護者の方々には思い出の小学校です。その跡地活用に自分たちの子供の声が聴かれ、反映されることは、好意的に受け取られ、行政の姿勢に信頼感がより増す事と思います。時間軸で将来を考えると、長い時間子どもは将来の地域の担い手であることは明白です、学校は下より、街づくり、環境、防災、文化、健康、福祉、などあらゆる機会に子供の意見を聞く仕組みを作って頂きたいのです。子供の意見を行政が聞き、その声が尊重され実現されることにより、子供自身が社会との繋がりと地域に対する責任や、愛着が一層深まり、権利と責任の両方を自覚できるようになるのだと思います。これまでも形式的には意見を聞いていたところはありますが、それぞれのセクションにおいて子供の意見をどのように聞き、どう反映するのかお考え頂きたいと存じます。この度の「こども基本法」においても、こども基本条約の理念を踏まえ、「こどもが意見を表明する機会及び多様な社会的活動に参画する機会が確保されること。意見の尊重、最善の利益が優先して考慮されること」が明記されています。区長のご所見をお聞かせください。

 以上で私の質問は終わります。ご清聴ありがとうございました。