令和元年第四回定例会 本会議一般質問
令和元年第四回定例会 本会議一般質問
令和元年第四回定例会 本会議一般質問
令和元年 12月3日
自由民主党の高森喜美子でございます。令和元年第4回定例会に当たり一般質問を行います。
1. 区有施設の水害対策対策の強化について
「災害は忘れたころにやってくる」と言いつがれて来ました。最近では「災害は忘れる間もなくやってくる」と言いたい感があります。日本各地の災害がテレビを通してリアルに伝えられるので、我が事として感じ、記憶されるからなのでしょうか。様々な災害から身を守る、地域を守る、防災、減災は、大きな災害に見舞われるたびに強化されていることは確かです。東京では関東大震災の大きな犠牲から地震対策が進み、建物の耐震化、防災の日を定め総合防災訓練の実施、街の防災性の向上・防災機能の強化、消防団や町会組織の防災力の強化など地震、火災への取り組みが進んできました。さらに平成の阪神淡路大震災は直下型地震の恐ろしさを、東日本大震災は津波の恐怖を知り、さらにその教訓は防災計画の充実や各機関の連携、防災装備の充実、住民一人一人の防災意識の向上などが進んできました。一方で水害については、中小河川の洪水対策が進み、国道16号の地下50mの深さに掘られた首都圏外郭放水路は、中小河川からあふれ出した水を一時的に引き取り、約6.3kmのトンネルを通して、江戸川へと放流する役割を担っています。都内の中小河川では護岸整備、高潮防御堤、地下調節池の整備が進みました。平成24年11月に「中小河川における都の整備方針」を策定 現在の時間50ミリ降雨への対応から、区部河川では時間75ミリ、多摩部河川では時間65ミリ降雨に目標整備水準を引き上げ、一部完成した環七地下広域調節池整備工事が進んでいます。長年にわたり多くの費用をつぎ込み、洪水から住民を守る取り組みは着実に成果を上げていることは確かです。しかしながら、今年10月の台風第19号は大型で強い勢力を伴い伊豆半島に上陸したのち、関東地方を通過しこれまでにない豪雨をもたらしました。24時間降水量は、荒川上流である埼玉県三峯561.5ミリ、秩父519ミリ、浦山647.5ミリ、ときがわ587ミリ等、統計開始以来の猛烈な雨量となったのです。荒川下流河川事務所の資料によると、荒川と隅田川を分ける岩淵水門は氾濫注意水位であるA.P+4.10mに近い4mに達した為10月12日(土)20:50に閉門操作を開始し21:17に全閉しました。これは、荒川の洪水が隅田川に流入するのを防ぐためで、隅田川の堤防は荒川より5.6m低いからです。その後、荒川の水位は上がり10月13日9:50にはA.P+7.17mに達し、氾濫危険水位A.P+7.70mに迫りました。この水位は岩淵水門を閉めていなければ、隅田川の堤防の高さを27cm超過しているため、氾濫している危険があったと言えるのです。上流での雨量は多かったのですが、幸い東京周辺での降水量がさほどでもなく、高潮もなかったため、難を逃れたのだと思います。今回の台風19号の様な大型の台風や近年の異常気象の状況では予想を超える大雨はあり得ることとして、洪水対策を打っておく必要を感じます。多摩川の氾濫で浸水した地域のマンションでは、防水板による止水で災害を最小限に留めた例もあり、本庁舎を始め、建物への浸水対策はそれぞれの区有施設でも具体的に考えて置くべきと思います。また、浸水した場合の業務継続計画を策定すると共に、必要な物品について浸水が予想される場合はあらかじめ移設する、など出来ることはあるのではないでしょうか?本庁舎を始め、区有施設のハード面での浸水対策、業務継続計画、事前のソフト面での浸水対策について区長のお考えをお聞かせください。
2. 男女平等推進行動計画第4次の進捗状況について
「台東区男女平等推進行動計画 はばたきプラン21」は平成6年度から始まり、現在第4次の計画が平成27年4月から令和2年3月までの期間として推進中です。台東区男女平等推進基本条例は、平成26年に台東区議会が全議員提出議案として可決し、平成27年1月より施行されています。服部区長が就任された直後からスタートした第4次男女平等推進行動計画の冒頭の挨拶で、「本計画のうち、「重点課題 7 男女平等参画を阻害する暴力への取り組みの推進」の一部は、いわゆる配偶者暴力防止法に規定する区の基本計画に相当するものとして推進していきます。」と述べられていて強い決意を感じます。計画の中ではドメスティックバイオレンス、セクシャルハラスメント、ストーカー行為などは、個人の尊厳を傷つけるばかりでなく、男女平等社会の実現を妨げるものとして位置付け、ドメスティックバイオレンスの根絶を目標としている点も区としての意気込みを感じます。しかしながら、社会が複雑化し価値観も多様化し、変化も早くなる中、弱いものへ向けられる暴力は今も大きな社会問題となっています。児童虐待の事案の中にD.Vがあることも多く報告され、暴力に苦しむ姿が浮き彫りになっています。昨年9月に公表された、男女平等に関する台東区民意識調査では、「男性は仕事、女性は家庭」や「家族の介護は女性」との考え方に「そうは思わない」「どちらかと言えばそうは思わない」を合わせ70%を越えて、確実に意識の変化を示しています。D.Vに対する認識は80%がどのような行為がD.Vにあたるかを認識している反面、D.V被害は減っておらず、何らかの被害を受けている割合は4人に一人となっています。このほかに区民意識調査では、家庭生活、男女平等意識、教育における男女平等、就労、ワーク・ライフ・バランス、女性活躍推進、セクシャル・ハラスメント、や性表現、性の多様性、防災対策における女性の視点、男女平等推進プラザの認知、など現状を把握し分析する大切な内容が含まれています。働きながら子育てをしている女性が増えている若い世代でも、男性の長時間労働や、職場の子育てへの理解不足は課題です。女性リーダーへの違和感の払しょく、女性の活躍の場の拡大、あらゆるハラスメントや暴力、性の商品化の根絶、ワーク・ライフ・バランスなど男女平等社会実現のための取り組みはさらに必要性を重くしています。また、次の計画の運用に当たっては、人権・男女共同参画課で庁内全課の目標への到達状況を把握していると聞いていますので、委員会への報告も適切に行って頂きたいと存じます。台東区男女平等推進行動計画第4次の最終年度に当たり、区長は進捗状況をどのように捉えているのか、ご所見をお聞かせください。
先月企画総務委員会で兵庫県芦屋市に「女性が輝くまち 芦屋」プロジェクトについて視察してきました。事業を起こしたい女性、趣味を仕事にしたい女性、余暇を活かしたい女性などWEBでアンケートを行い、希望者は登録しセミナーやミーティング、相談会を重ね、それぞれの道を探り、目的に到達できるようにサポートしていました。取り組みも勉強になりましたが、「女性が輝くまち」は市役所の中から始まっていました。芦屋市の女性管理職の割合が平成31年では33.8%、職員の女性割合50.1%で、すでに国が目標としている女性管理職の割合30%を達成していました。令和4年度までに課長級以上35%、部長級以上12%を目標にしています。平成28年度で芦屋市男女共同参画センター通信の市民の認知度は21%、4年後の目標は40%、芦屋市男女共同参画推進条例の市民認知度36.7%、4年後の目標は50%、と驚くばかりでした。やはり男女共同参画を推進するためには、意思決定の過程に男女が共に参画することが重要だと痛感いたしました。台東区における課長級以上の女性の割合は、現在18.4%で,部長級4名・課長級12名です。率も人数も、近年は増加傾向にあるものの、国が目標とする30%には及びません。また、審議会委員や委員会における女性の割合を引き上げることも重要で、積極的な働きかけと工夫が必要と考えます。女性幹部職員の育成や、審議会・委員会の女性の割合について区長のご所見をお聞かせください。
性の多様性について大阪市の取り組みも視察してまいりました。LGBTなどの性的少数者は人口の5~9%であると民間の調査で報告されており、台東区の男女平等に関する区民意識調査でも、自分の性や恋愛対象について悩んだことあると答えた方が全体の5.9%あり、身近な存在です。性の在り方が多数派とは異なる面がある人々のことを性的少数者といいますが、人間が持つ多様性の一つとして認め合い、誰もが自分らしく生きる社会の実現のためには、まだまだ理解が深まっていないのが現状です。このため、依然として差別的言動がみうけられるのです。本区においても区民に対する啓発のための講演会や研修を行っていることは承知していますが、区の職員に対する研修・教育も必要と考えます。窓口業務などにおいて適切に対応するための方法を記載したガイドブックを作成し、全職員に配布する方法が有効と考えます。大阪市での取り組みも参考に、ご検討頂きたいと存じます。また性的指向や性自認を理由とする困難は様々で、トイレ・更衣室の使用など、それぞれ個別、具体的な対応方法を検討する必要があります。相談対応の経験が豊富なNPO等と連携し、そのノウハウを生かしていく事も大切と思いますので、この2点について区長のお考えをお聞かせ下さい。
3. ICT教育におけるタブレットパソコンの活用とプログラミング教育の取り組みについて
国は新IT戦略及び同工程表において『2020年までに児童生徒1人1台の情報端末 による教育の本格展開』を目指してきました。本区においてもこの到達点を見据えた環境整備を段階的に進めて参りました。 平成21年度の学校ICT環境整備事業により大型デジタルテレビ、平成 23年度には電子黒板・実物投影機を概ね1クラスに1セット導入するとともに、 校務支援ネットワーク端末として、教員一人に1台のパソコン整備行い、校務及び教育のICT化を図りました。さらにICT支援員を配置し、デジタル教科書の活用や、電子黒板・実物投影機の活用による、分かりやすい授業の進め方についても研修や、アドバイスを受け全校でICTによる教育の効果も確認できています。昨年10月からは、モデル校として小学校2校中学校1校でタブレットパソコンを導入した教育実践も始まり、効果の検証や、教員への研修や支援の在り方、児童生徒の反応などが確認され、課題についても議論されていると聞いています。すでに、目標である令和2年度からの全校へのタブレットパソコンの導入に向けた検討に入っている時期であると存じます。これまでの、予算委員会、決算委員会・一般質問で各会派からは、タブレットパソコン導入に積極的な意見ばかりで、早目の対応を求める意見が多数であると感じています。タブレットパソコンの導入については23区の対応はばらつきがあることは確かですが、早いところはすでに全校で実施し教育の効果も、これまでの紙ベースとは別次元の利点があると高い評価を得ています。そして実際に使って、慣れていくことこそ大事だ。との感想も聞いています。「教育は生ものだ」との例えもありますので、モデル校以外の多数の児童生徒に、新たな体験と教育を遅れることなく届けるために、令和2年度初期の導入に向け、教育委員会のさらなる努力を求めます。教育長のご所見をお聞かせください。
令和2年度からスタートする新学習指導要領の特徴の一つとして、新たに導入されるプログラミングがあります。プログラミングはコンピューターのプロの仕事というイメージがありましたが、21世紀はITの進歩が急速で知識・情報・技術が社会のあらゆる領域で活動の基礎となっています。人工知能AI・ビックデータ・ロボティクスなどの先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会そのものの在り方が劇的に変わるとされる、Society5.0時代の到来が予測されています。時代が変わっても必ず必要とされる教育もある一方で、その時代に合わせて必要となる教育もあると言えます。プログラミング教育の本質的ねらいは、小学校学習指導要領の総則にある、「児童がプログラミングを体験しながら、コンピューターに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」とされています。つまり考える力です。文部科学省は「小学校プログラミング教育の手ひき」を示し各学校での適切な指導を促しています。またICT環境の整備とこれまでの取り組みの蓄積が、新たなプログラミング教育の土台となる事は間違いありません。とは言え、ほとんどの教員もプログラミングの経験がなく不安を感じるのは当然の事と思います。インターネット上にはプログラミング教育を体験できる沢山のサイトもあり、教員の不安や抵抗感を減らすために有効な手段であると言われています。児童生徒がコンピューターを使って意図した動きを実現できる楽しさを知り、コンピューターとはどういうものか理解できるよう準備して頂きたいと存じます。新たなプログラミング教育への対応について教育長のご所見をお聞かせください。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。