平成30年第2回定例会 一般質問
平成30年第2回定例会 一般質問
平成30年第2回定例会 一般質問
平成30年6月11日
自由民主党の高森きみこでございます。通告の順に従い一般質問をさせて頂きます。
一、健康で長生きする為の運動習慣について
高齢化社会・高齢化という言葉が使われ始めて久しく、今では実感することも多くなっています。高齢化の速度は、欧米各国と比べ著しく早いスピードで進展し、世界の先陣を切って高齢社会を迎えています。高齢化は世界各国においても日本の後を追って直面する問題であり、どのような対策で日本が乗り切っていくのか、世界が高い関心を寄せていると言っても過言ではありません。一方では少子化が進み高齢者を支える生産年齢人口が減り続けている状況は今後もさらに進みます。この時代を生きている私たち一人ひとりが、自身の高齢化にどう向き合うのか、将来に繋がるように今をどう過ごすのかを考え、支え合う地域を作っていく事が大切です。
私たちは自分自身の健康についてどれだけ認識し、生活しているでしょうか?健康の三要素と言われる「栄養」「休養」「運動」の中で、量や質の問題はあるにしろ「栄養と休養」は自然体で取ることができます。しかし、運動は意識的に生活の中に組み込むことでしか体を動かすことはありません。高齢社会・長寿社会が実現した今日、誰もが、健康で長生きしたいと願っています。一人一人の健康の維持は、本人の幸せと家族の安心のみならず、医療費の抑制、介護保険需要の抑制にもつながり、社会的目的を持った高齢社会を乗り切る取り組みとなっていると言えます。平成28年に公表した台東区スポーツに関する意識調査報告書によると、20歳以上の区民に運動やスポーツの頻度を聞いたところ、週に1日~3日の割合は約6割で、内容は「ウォーキング、散歩」が約7割と最も多く、場所は「自宅」「近くの公園」その他として「家の周り・近所」があげられています。目的は健康維持・体力向上、運動不足の解消が上位となっています。この意識調査をベースに、平成29年に策定された「台東区スポーツ振興基本計画」は、障害者の方の社会参加を進め、スポーツ実施率70%を目指しています。計画にウォーキングの普及促進が保健サービス課とスポーツ振興課の事業として位置図けられていますので、誰もが、いつでも、すぐに取り組めるウォーキングを、区民みんなで取り組む健康ツールとしてはいかがでしょうか。一日に歩く目標の歩数を自分で決めて、記録し月ごとに成果を評価し合う自主的取り組みです。評価し合うグループは自由に作っても、すでにある町会,商店会、PTAや運動系の団体、文科系の団体などに呼び掛けてもいいと思います。仕事に出かけるサラリーマンの方にも記録さえすれば個人で参加もOKです。何か月に一度台東区として、目標を達成した方を評価し、インセンティブを高める工夫も必要と思います。さらに血圧・血糖値・コレステロール値の改善、体重の減少や筋力の向上に繋がれば、成果は実感されるように成ります。歩数計はスマホや携帯のアプリにありますし、万歩計も千円以下で手に入ります。運動・スポーツの事業が単発的なものが多い中で、年間を通して手軽にできるウォーキングを台東区全体で取り組む健康プロジェクトとして開始してはどうでしょうか?また、スポーツ庁がスニーカー通勤を呼びかけて、一駅手前で乗り降りし「歩こう」と呼びかけています。横浜市のウォーキングポイントは平成26年にスタートし有名になりました。各地方自治体でもウォークビズとして既に運動習慣の定着策として取り組まれ、介護予防や医療費削減につながったとの報告も出ていますので取り入れては如何でしょうか。区長のお考えをお聞かせください
二、中小企業・小規模事業者の支援について
台東区は中小企業の集積された地域であり、都市部の中心区であることから大な経済の流れに敏感であり、影響されやすい地域でもあります。近年、私たちの地域では、マンションの建設が進み、建物の建て替えやホテル建設、外国人旅行客の増加など景気低迷期には無かった状況を身の回りに感じています。2012年12月に第2次安倍政権誕生から、明確な成長戦略を示し、景気は短期間で緩やかに回復しました。2015年秋以降はさらに「子育て支援」「女性活躍」「介護離職ゼロ」「働き方改革」「生産性の向上」など具体的な政策が推し進められています。次の課題として「賃金の上昇」「個人消費の拡大」「地方創生」「中小企業の支援」が重要視されてきています。ことに日本の全事業者数の99.7%は中小企業で、全従業者の約70%が中小企業に就業しています。さらに、地域の雇用を担う産業は、製造業から飲食・医療・福祉を含むサービス業へと変化が著しく、東京圏ではその傾向が顕著です。全体的経済の好調を、より隅々にまで広げる為に、国は、前年度から今年度に切れ目ない対策を実施しました。人材不足への対応、小規模事業者対策、海外展開、事業承継・再編・統合による新陳代謝の促進など様々な事業が、29年度補正予算で2040億円、30年度当初予算で1771億円規模となっています。さらに「生産性向上特別措置法」及び「産業競争力強化法等の一部を改正する法律」が6月6日に施行されました。この法律では、生産性向上を図る設備への投資を促進するための固定資産税の軽減や、経営者の高齢化による事業の承継をスムーズに行うための事業承継税制も含まれています。
しかしながら、中小企業・小規模事業者の喫緊の課題に応えられる制度であっても、日夜仕事に追われている経営者にとっては、自身の経営を振り返り、制度を理解して、それを利用するまでには多くの課題があると考えます。そうした方々に自身の経営に気付いてもらい、国の制度を最大限に利用できる機会を活かしてもらえるよう、的確な情報提供が必要だと考えます。また、相談にしたい事業者に対して、生産性向上や事業承継などの難しい課題、複雑な手続きに、専門家チームが寄り添うように支援することも必要だと考えます。区内の中小企業・小規模事業者のために情報の提供と専門家チームによる支援について、区長はどのようにお考えでしょうか方策をお聞かせください。区長のスローガン「躍進台東」の柱の一つである区内産業の活性化の拠点を明確に発信するためにも、現在、台東デザイナービレッジと台東区産業振興事業団が入っている建物の名称を、例えば「台東区小島 産業応援プラザ」の様に経営者にとって、より身近に感じられる名称にし、支援体制を強化して頂きたいと存じます。
三、心のバリアフリーとヘルプマークの活用啓発について
1. 心のバリアフリーの推進について
今年、韓国平昌で開催された冬季オリンピック・パラリンピックでの選手の活躍ぶりは記憶に新しいところです。最近では障害のある方々の活躍はスポーツ界のみならず、芸術や音楽はじめ各分野に広がりを見せています。道半ばとは言えノーマライゼーションを目指す取り組の進捗を感じます。東京2020オリンッピク・パラリンピック大会の決定をチャンスと捉え、法の整備や、計画も進んできました。障害当事者の参画の下で検討が進められた平成23年の障害者基本法の改正では、平成19年に 署名した「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた国内 法整備の一環として、条約が採用する、いわゆる「社会モデル」の考え方や「合理的配慮」の概念が新たに取り入れられました。さらに「障害者虐待防止法」の制定、「障害者総合支援法」に改称、「障害者差別解消法」の制定、「障害者雇用促進法」の 改正など、法的整備を進めてきました。 こうした国内法整備を経て、平成26年2月、「障害者の権利に関する条約」が批准され、日本の障害者政策は国際基準を標榜するところとなりました。
台東区では台東区障害者実態調査を基に、平成30年度から32年度を期間とする第5期台東区障害者基本計画がスタートしています。障害者実態調査では、地域で安心して暮らしていくためには、どのような施策が重要だと思うか?の問いに対して、障害の内容に関わりなく「障害に対する理解の促進」が一位で、つづいて、働いている方を対象に、働きやすい環境にするためには、どのようなことが必要だと思うか?の問いに、周りの人たちの障害への理解62.9%、企業での障害者雇用の促進35.5%、通勤や移動手段の確保28.1%と続いています。地域でも職場でも「障害に対する理解」が望まれている状況が見えてきます。時が進み、法が整備され、施策が進んできたにも拘らず、健常者の側の理解や心のバリアフリーは足踏みしているかのような現状を突き付けられているように思います。しかしながら、多くの区民の方は、身近に障害者の方と知り合う機会がなく、障害に対する知識もなく、支援の方法もわからないと感じているのではないでしょうか?理解し合うとはお互いに向き合うのではなく、同じ方向を向いて共に歩むところから真の理解が生まれるのだと思います。
本区のスポーツ振興基本計画には、「スポーツによって支え合う共生社会を実現するためには、2020東京大会の開催を契機として、障害の有無に関わらず、だれもがお互いを理解し尊重することが重要です。」として障害者スポーツ教室の開催等の新規事業が盛り込まれています。確かにメニューは増えましたし、施策の必要性も理解いたしますが、障害者スポーツのくくりは「障害者だけ」の印象をまぬがれません。目的は出来るようになることだけではなく、みんなで楽しむ事だと思います。そのみんなは、障害者を含む地域のみんなであり、職場のみんなで楽しんでこそ、お互いを理解し、助け合う、共生社会、ノーマライゼーションの目標に近づく道ではないかと思います。スポーツだけではなく、芸術・音楽の活動、地域の活動にも、みんなでやってみる機会を増やす事で心のバリアフリーが進んでいくのだと考えますが、区長は施策を通してどのように心のバリアフリーを広げていくのか、お考えをお聞かせ下さい。
2. ヘルプマークの活用推進について伺います。
ヘルプマークは既にご存知の方もいると思います。赤い長方形に白い十字と白いハートを配したシンプルなデザインで、聴覚障害、言語障害、発達障害、難病、知的障害、精神障害、妊娠初期の方など、一見するとわからないけれど配慮を必要とする方のためのマークです。健常者には、近くに何か援助を求めている人がいる。と「気付く」ためのマークです。平成24年に東京都が始め、昨年7月にJISの案内用図記号に採用され、全国共通のマークとなりました。電車の中でヘルプマークを見たら、それとなく席を譲ることができ、「何かお困りですか」と声をかけることも出来ます。優先席に座るときにヘルプマークをそれとなくバックから出しておけば理解してもらいやすいなど、配慮される側、配慮する側の見てわかるコミュニケーションの第一歩として、多くの人に知って頂きたいと思います。
台東区ではヘルプマークに加え、困ったときにどの様な助けをして欲しいのかを記入するヘルプカードも配布していると聞いています。「聞こえないので筆談でお願いします」「書くことが苦手です」「発作が起きたら○○病院へ連絡してください」など支援方法を具体的に伝え、支援行動を迅速に起こせる様工夫しています。「知的障害の子供が迷子になり、ヘルプマークを見た駅員さんに見守ってもらい無事帰れた」等、子供からお年寄りまで不安な気持ちで外出する方に、周りの人が気付いてさりげなくお手伝いできる仕組みとなっています。高齢になると、急に視力が落ちたり、難聴ぎみになるなど様々な不安要素が出てきます。発達障害などの子供にもヘルプマークを必要とする時がある場合もあります。思いやりのある共生社会へ進む一助とするために、障害者団体には、すでにお知らせ頂いていますが、区民全体の啓発も重要ですので、高齢者団体、PTAを含む様々な区内団体への周知とヘルプマークの活用啓発を図って頂きたいと存じます。区長のご所見をお聞かせください。以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。