平成29年第3回定例会 一般質問

平成29年第3回定例会 一般質問

平成29年第3回定例会 一般質問

平成29年9月20日

自由民主党の高森喜美子でございます。第3回定例会にあたり一般質問をさせていただきます。


1. 安全・安心な上野の街づくりと将来の上野について

客引き防止条例の施行と安全・安心の街上野への取り組みについて。

平成29年10月1日の施行される「客引き防止条例」は、第2回定例会における委員会での慎重審議を踏まえ可決成立致しました。文京区との接続地域であることから条例制定に当たり両区の連携・調整に当たって頂きました担当のご努力に感謝申し上げます。客引きを無くしていくために、特定地区内おいて地域の方が講習を受けて、推進員として活動する仕組みを作られ、さらに指導員を委託し書面による指導を行い、実行性を担保していくと聞いております。こうした対策により、客引きにより嫌な思いをする人が減り、若い女性をホステスとして勧誘する行為が減ることを願います。また、上野警察署が盛り場総合対策重点推進警察署に指定され、昨年より、ぼったくりと言われる不当な料金を請求する店舗の摘発指導を行い、道路上に堂々と出されている看板やネオンが付いた看板を撤去し、歩道や道路上に大幅にはみ出して商品を並べている店に指導を行うなど積極的活動を展開しました。安全・安心な街は言うまでもなく法律を守り、清潔感や整備感があることが大前提であります。警察の指導が強化され、客引き条例が施行される事を契機として、地域の商店、商店街が主体と成り、自主的により良い環境にしていく方策を考え実行し、アピールする活動が必要ですし、警察や区が活動を後押していく取組が欠かせません。民間の活動の盛り上がりがなければ条例や警察の指導も一時的な効果だけに終わってしまいかねないからです。区長は条例施行を契機に、安全・安心なより良い上野を創る為、地域の皆様をどのように支援し、協力していくのかお考えをお聞かせください。

 

上野駅前に建設予定のホテルと上野の将来の在り方について

8月の中ごろ、ホテル旅館組合の皆様を対象に、上野駅広小路口にホテル建設の説明会を開催し、その内容が話されました。敷地はJRの土地で、JRの関連ホテル会社が建設を予定しています。地上16階、8820㎡ 1フロア15室を作り13階で195室、他に18㎡~20㎡の部屋12室 25㎡~28㎡の部屋3室、1階は中央通りへ出られるように通路部分があり、最上階はレストラン・バーラウンジを設ける。と言う内容でほぼビジネスホテルのようです。建設場所の上野駅広小路口は中央改札口を出て、コンコースを抜けて丸井前の中央通りに面する唯一の駅前の小広場となっている場所です。建設面積は片方が直角の台形で、歩道までほぼいっぱいに建てる計画となっています。

私は、この内容を説明会に出席された方から、資料見せて頂き、お話を聞いて知りました。そこでいくつかの疑問が浮かびました。1点目は、上野駅本体の老朽化で改修や建て直しによる解決が迫られている事です。現にホームへの通路には壁の一部を開け通れるようにした場所があり頭をぶつける危険があります。また正面玄関脇には、貨物車が出入りする搬入口があり機能面の不都合や歩道を横切る危険があります。二点目は、建設予定の小広場は、唯一の公開空地として、震災・火災、車両事故、テロ、などの想像を超える非常事態が発生した時は消防車両・救急車などの人命救助の為のスペースとして重要な役割があると思います。多くの人が利用する公共交通機関であり、アトレの様な商業施設もあり「万が一」を想定しないで良いのでしょうか。3点目は区とJRとの連絡・連携に付いてです。区は今年度から「上野地区まちづくりビジョン」の策定に着手した矢先、突然示されたホテル開発計画をどのように受け止めたのでしょうか?全整協は、まち全体を良くする観点から、地域の代表、台東区、鉄道各社、東京都を含め協議してきた歴史があり、上野駅周辺の将来の在り方を考える時、上野駅を抜きに考えることは出来ません。区の諸計画との整合性について御所見をお聞かせください。上野のような発展した都市空間の再整備は地下や地上空間の高度利用により公開空地を生み出し緑化やバリアフリーを実現し、人の流れや交通の在り方を改善して、より良い環境と安全性を確保するものでなければならないと考えます。区長のリーダーシップの下、国や東京都、JRを含む鉄道事業各社や民間との連携を図り、上野駅を含む地域の将来に期待の持てる計画や方向性を示して頂きたいと思いますが如何でしょうか、お考えをお聞かせください。


2. 子供の貧困対策について

子供育成活動支援事業の今後の展開について

厚生労働省は6月27日、2016年の「国民生活基礎調査」を公表しました。その中で経済的に厳しい家庭で育つ17歳以下の子どもの割合を示す「子どもの貧困率」2015年時点は13.9%と3年前の前回調査より2.4ポイント低下し改善しました。つまり、「6人に1人の貧困状態から7人に1人になった」ことになります。厚労省は「景気が回復し、子育て世帯の雇用や収入が上向いたため」とみていますが、子どもの貧困率13・9%は、経済協力開発機構(OECD)加盟36カ国中23番目に当たる数値で、ひとり親世帯は依然、半数が貧困状態にあり、これはOECD加盟国の中で最低水準です。特に子どもを抱えた女性は就労状況が不安定で低収入の非正規の仕事にしか就けないことが多く、母子家庭では、所得が200万円以下の世帯が4割弱にも上っています。私は平成28年第1回定例会の一般質問で子どもの貧困問題を取り上げて、子供に係る所管課の努力は分かるが、全体像が見えない。子供を取り巻く複雑な現実に対応するためには、所管の枠を超え新たな連携と枠組みが必要との問題提起を致しました。その後「次世代育成推進会議」を早々に見直し、「子供の貧困問題」を調査分析し、対応策を協議し全庁的位置づけの中で様々な施策が進んでいる事を高く評価いたします。ことに地域の子ども達に対し、学習支援を柱に食事や居場所を提供するNPO等を支援する「子供育成活動支援事業」は、今年度の新規事業であります。現在すでに4団体が本区の中で活動し、徐々に実績を上げていて、区の補助対象として認められようとしています。今回補正予算で支援の体制が整えば、初年度で全区的配置も視野に入る素晴らしいスタートダッシュとなっていきます。こうしたNPOの意欲を高め、活性化していくためには、それぞれの良さを知り、連携できるように、NPO間のネットワークづくりを、次のスッテップとしてはどうかと考えます。NPOへの支援について区長の御所見をお聞かせください。


NPOのひとり親家庭への食品提供事業対する支援について

区内で活動しているNPOの中には、パントリーピックアップ事業として、ひとり親家庭への食品提供を展開しているところがあります。食品ロスが大きな社会問題と成る中で、企業から出る食品ロスは賞味期限近くで捨ててしまうものが多く「もったいない」状態にあります。そこでNPOでは補助金の枠を超え、自主活動として多くの企業から賞味期限が近いが、食品として問題ない食材や、加工食品、食品を貰い受け、「児童扶養手当」や「ひとり親医療助成」を受給しているひとり親家庭に無料で提供するサービスを展開しています。足立区では親子支援課との連携で約5000世帯に通知し813世帯が食品を希望したそうです。本区でも今年度担当セクションと連携し食品の提供がスタートしました。区南部の本拠地では週4回、中部地域では民間の施設を借りて月1回実施しています。食品は十分にあるので、今後は区の北部や、谷中地域にも展開したいと希望していますが場所の確保が課題となっています。区を始め関係機関や地域団体の施設など、場所の確保についても、活動がスムースに進み、食品を提供している企業も、受け取るひとり親家庭も共に笑顔になるように支援して頂きたいと考えます。区長の御所見お聞かせください。


3. 介護保険制度の将来を見据えた人材確保と育成について

平成12年にスタートした介護保険制度は、初年度の認定者は218万人でしたが、15年後の平成27年度には608万人が認定され、介護を必要とする高齢者の生活の支えとして認識され、制度の理解も進んで参りました。急速な高齢社会を迎えた日本の社会保障の柱として、この制度を支える介護職員の育成は根幹の課題であると考えます。平成27年度の介護職員数は約183万人前年と比べ6万6千人増えて、平成12年から約3.3倍に増加しています。しかしながら介護職は選びたくない職業・いわゆる3Kと言われ、他の職種に比べ賃金も低い、労働時間も長いなど改善が求められていました。さらに介護分野の有効求人倍率は他の産業と比較して高い水準で推移し、加えて離職率も高くなっています。財団法人介護労働安定センターが行っている介護労働実態調査によると、介護施設での人手不足感は年々上昇しており、平成27年度の調査では、介護職員が不足していると回答した施設は約3割に上っています。2025年団塊の世代が後期高齢者となる時には介護保険の需要は20兆円と現在の2倍になると予測され、需要に供給が間に合わず、約38万人の需給ギャップが生じると推計されています。国は「福祉・介護人材の確保に向けた取り組みについて」を公表し、取り急ぎ、国と地方公共団体との連携により2020年代初頭までに、追加的に必要となる25万人の介護人材の確保に取り組むとしています。介護報酬の対応としては、平成24年度改定で介護職員処遇改善加算の創設とその後の更なる普及により、継続的な処遇改善につながっています。

さらに潜在介護人材の呼び戻し、新規参入促進、離職防止・定着促進等の観点から、 離職した介護人材への再就職準備金貸付制度の創設や介護福祉士を目指す学生への奨学金制度の拡充・ 学生や中高年齢者に対する介護の仕事の理解促進や職場体験・ 介護施設等における職員のための保育施設の設置・運営支援など総合的・計画的に進めるとしています。東京都においては、職場体験に機会を提供する施設への支援や職場体験を利用した方への介護職員初任者研修の資格取得の支援を実施しています。初任者研修費用を助成し、台東区で介護職として働いて頂ければ、インセンティブとして効果はあると思います。台東区においても介護保険の認定者は、毎年増加し27年度は9,240人が要介護認定されています。費用も毎年ほぼ5億円づつ増えています。今後、地域包括ケアシステムの構築に向けて、さらに介護人材の確保は大きな課題となって参ります。

2025年に人材不足に陥らないように、国や都と連携し積極的に人材確保と育成の為の取り組みを進めるべきと考えます。区長の御所見をお聞かせください。

 

4. 戸別収集の成果とゴミ減量の今後について 

平成28年度における23区のごみ量は、区収集及び持込ごみ量を合わせて、2,752,138tでした。ごみの量は,ここ10年くらいは,横ばいか減少傾向にあります。人口や産業が集中する東京では,「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」と言う時代に、清掃工場建設を巡りゴミ戦争と言われた時もありましたが、平成12年循環型社会形成推進基本法が制定され、再生、再利用によりごみ量の削減を官民挙げて取り組む事が示されました。またこの年から、地方分権の流れの中で清掃事業が東京都から23区に移管され、本区に置いても区民・事業者・行政が一丸となって循環型社会実現を目指した取り組みを行って来ました。住民・事業所の協力でリサイクルやゴミだしルールが定着しごみ量は減り始め、過剰包装の廃止、レジ袋の削減、使い捨てを止め長期間使えるものを選ぶなど、意識改革も進んできました。本区では平成23年3月に改定した「台東区一般廃棄物処理基本計画」において、ごみ減量を目的とした基本施策として、他区に先駆けて戸別収集を基本に位置づけ、平成25年4月から区内の一部地域より、戸別収集を始めました。私は、平成25年第2回定例会の一般質問で戸別収集についてふれ、高齢世帯が増えているので喜ばれる事、ごみ出しマナーの向上に繋がること等による、ごみ減量効果を高めるような取り組みを要望致しました。スタートから3年間で個別収集は区内全域に拡大されました。実際に区が収集したごみの量は、平成24年度は46,836tから徐々に減り 28年度は43,140tと ごみ量は確実に減っていました。しかも平成24年と平成28年を比較すると人口は5%増加しているのに、ごみ量は8%減っているのです、さらにごみ収集に係る経費もわずかながら減っています。すべての点で戸別収集の効果は考えていた以上に大きく、実施に踏み切ったことを高く評価いたします。区民の協力も含め、日々ごみの収集に当たっている現場の方々、担当セクションの努力に敬意を表したいと思います。ところで、この計画は平成23年度から平成32年度までの10年計画ですので平成27年度で、前半が終わり、中間の見直しが行われ後半5年間が始まっています。家庭で1人1日100g削減、事業所でごみ10%削減が目標とされ、また、区民による発生抑制の取り組みとして、食品ロスの削減も示されています。日本でまだ食べられるのに捨てられる食品ロスは年間約621万tになります。内訳は、家庭から282万トン、メーカー・スーパー・レストラン等の企業から339万トン、世界で約8億人の人々が栄養不足状態にある中で、「もったいない」という言葉の発祥地である日本として、食品ロス削減にフードチェーン全体で取り組んでいくため、官民が連携して国民運動を展開しようとしています。本区でも家庭からの食品ロス削減に取り組みます。このような取り組みの中、本区の約80%は集合住宅に住んでいる現状であり、戸別収集においては効果が見えにくい、集合住宅への働きかけが課題です。また、事業所の多い台東区、中小規模の事業所が約90%を占めていますので、事業系ごみの減量対策も課題の一つです。循環型社会を進めごみ減量の目標を達成する為に、戸別収集の成果をどう認識し、こうした課題を今後どのように克服していくのか、区長の御所見をお聞かせください。