平成28年第4回定例会 一般質問

平成28年第4回定例会 一般質問

平成28年第1回定例会 一般質問

12月2日午後1時 本会議場で自民党を代表し一般質問を行いました。

自由民主党の高森喜美子でございます。お許しを頂きまして、今年最後の第4回定例会に当たり、一般質問をさせて頂きます。

通告の順に従い、区長並びに教育長に質問いたしますので、積極的なご答弁をお願い致します。

 

1.妊娠期からの切れ目のない支援の仕組みについて

産後ケアの実施について


始めに、妊娠期からの切れ目のない支援の仕組みについて質問いたします。

先ずは、産後ケアーの実施について伺います。

今年5月の児童福祉法の改正が行われ平成29年4月1日施行となります。改正の要点は、「全ての児童が健全に育成されるよう、児童虐待について発生予防から自立支援まで一連の対策の更なる強化等を図るため、児童福祉法の理念を明確化するとともに、母子健康包括支援センターの全国展開、市町村及び児童相談所の体制の強化、里親委託の推進等の所要の措置を講ずる。」と言うもので、児童虐待防止に国・地方公共団体上げて取り組む内容となっています。

23区を含む20万人以上の中核都市では児童相談所の設置が可能と成り、人材の育成も求められます。また、世界的には、親元で生活できない子供の養育は、里親の様な家庭環境の中で育つことが、子どもにとって重要とされています。日本では家庭養育は10%程度でほとんどが施設で育っています。

地域住民の理解を深め、里親委託を推進していくとしている点は評価できます。また、市区町村に母子支援センターの設置が努力義務化された事は、家庭の形態が変わり、子育て不安が若い親に付きまとう昨今、地域で支える環境作りの中心と成る組織として期待されています。母子健康包括支援センターの法定化の背景には安倍総理が掲げる「一億総活躍社会」がありますが、一方で平成26年度に妊娠・出産包括支援モデル事業を創設してから各地域で活動が展開され成果を上げた事も大きな要因となっています。

まち・ひと・しごと創生総合戦略の中でも概ね32年度までに「母子健康包括支援センター」の全国展開を目標にかかげていて、センターの設置を促すために妊娠・出産包括支援事業の充実に、国は37億8500万円を予算計上しました。

包括支援事業のメニューに産後ケアーも含まれていて、23区でも今年度実施している区もあります。本区ではゆりかご台東をスタートし、保健師さんが妊婦さんに面会し1万円のこども商品券を渡しながら、生活や健康上の問題をお聞きし支援の必要な方のサポートをスタートしました。出産後はつぎの乳幼児家庭全戸訪問に移ります。しかし出産直後はどうでしょうか?医療の時期が終わる病院を退院してから、赤ちゃんと二人になった時から一気に責任を一人で背負う新米ママの不安は始まります。また体の中ではエストロゲンと言うホルモンが一気に減少し、情緒不安定な要素が否応なく加わっているのです。

家族の温かい協力や、経済的に安定している安心感があれば、ほとんどの場合問題は生じないのですが、出産の高齢化や核家族化の進展は孤独な育児状況を作り、産後うつや、育児放棄のようにメンタルに大きな影響が出てくることもあり、産後ケアーの支援の必要性が出てきているのです。医療機関や助産所などとの委託契約により、母子共に宿泊をして、専門家のアドバイスや、育児スキルのアップを図り不安を取り除くように支援します。妊娠期からの切れ目のない支援は幼児虐待の発生予防の観点から児童福祉法改正の主旨でもあります。


母子健康包括支援センターの機能は横断的連携のコーディネート力を付けてほしい

国や都の補助もありますので、本区に置いても産後ケアーを実施しては如何でしょうか?また台東区では浅草保健相談センターの移転について「母子健康包括支援センター」の機能を追加すると聞いています。

妊娠から乳幼児・就学前・就学児まで行政サービスは確実に増えていますのでそのサービスが分かり易く、問題が複雑深刻になる前に支援に繋がるよう区民ファーストのコーディネートをこの母子健康包括支援センターの役割として頂きたいのです。コーディネートには健康部・区民部・福祉部・教育委員会などの連携が肝心と考えます。区長のお考えをお聞かせください。

 

ほうらい子育てサポートセンターを母親の育児ストレス解消に活用する事について


もう一点提案をいたします。

それは現在ほうらい子育てサポートセンターで実施している、子供のショートステイを子育てに疲れた母親に使ってもらい、一晩息抜きをしてリフレッシュすることが出来ればモチベーションも上がり、精神的安定が図れると考えます。

実際に子育て支援特別委員会と区民文教委員会委員の議員と私立幼稚園のPTAの母親との懇談会で、育児不安の時に子供を預かって頂き、自分を取り戻すことが出来て助かったと言うお話を聞きました。

ご自分で調べてこのサービスをお知りになった様ですが、保健所との連携で必要と思える方に、ショートステイの利用を紹介し、育児不安からの脱却に繋がれば、初期段階での対応として効果があると思います。受け入れ側の態勢を整えて考えて頂けないでしょうか。以上の点について区長のお考えをお聞かせ下さい。

 

2. こどもクラブの状況と今後の放課後対策について

国が示す学校施設の積極的活用をどのように実施するのか


つぎに、子どもクラブの状況と今後の放課後対策の在り方について伺います。

子どもクラブのニーズは両親が仕事を持っている割合が増えれば保育園と同様に増えていきます。最近の20代の若者の意識や生活の変化を追跡する厚生労働省の調査で、結婚後も働く意向のある独身女性のうち子どもを産んだら仕事をやめたいと考える人は6.9%と、10年前の同じ調査(24.5%)と比べ4分の1に減ています。厚生労働省は「育休制度の普及や女性の生き方の多様化、家計の事情などで、男女の家庭観が変化した」と分析しています。

同様の調査は10年前から行われでいて、働く独身女性の「結婚後も仕事を続ける」との回答は44.6%と10年前より2.8ポイント増え、「結婚を機にやめる」は4.8ポイント減の17.1%でした。結婚後も続けると答えた人のうち、出産後も続けるとした割合は13.8ポイント高い65.1%に上っています。

女性の社会進出と女性の活躍を応援するとしている政治的追い風は保育園や子どもクラブのニーズが高くなることを前提に考えなくてはなりません。しかも就学前児童数は増加しており、認可保育所・こどもクラブの申請者数も確実に増加しています。認可保育所などの整備を進め在園児数が増えているにもかかわらず、保育園に待機児童が出てしまっている現状です。子どもクラブは計画通りクラブ数を増やして、定員増にもかかわらず待機児童が出ている実情です。


 

行政計画上の放課後対策と結論と方針を早めに示してほしい


子どもクラブの在り方、放課後対策について平成26年国は厚生労働省と文部科学省共同で放課後子ども総合プランを示し、共働き家庭等の「小1の壁」を打破するとともに、次代を担う人材を育成するため、全ての就学児童が放課後等を安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができるよう、一体型を中心とした放課後児童クラブ及び放課後子供教室の計画的な整備等を進める事としています。整備する場所は学校施設で徹底的に活用する事としています。

学校の特別教室・図書館・体育館・校庭・余裕教室など一時的な利用を積極的に促進する事としているのです。

これまでの共働き家庭の鍵っ子対策としての学童保育の考え方とは大きく変えて、共働き家庭の子どもの生活の場を確保し、すべての就学児童の放課後の居場所として、体験や活動の場としての学校の活用を示しています。

本区では、すでに千束小学校で放課後子ども広場を、今年度石浜小学校で新たな放課後の子ども教室をモデル実施していますが、さらに学校を活用した放課後児童クラブや放課後子ども教室を、台東区の学校でどの様に展開していくのかが問われています。

学校施設は学校教育だけの物との従来の考え方を大きく変える方針だけに、校長先生や先生方の意識改革と教育長・教育委員会の強いリーダーシップが欠かせません。

行政計画では放課後対策の検討は27年・28年で策定が29年となっています。すでに、一杯の学童クラブですので台東区の放課後対策の方針を早く示し、計画を前倒してでも保護者の理解や、子供たちにしわ寄せの起こらない様に実施して頂きたいと思います。教育長のお考えをお聞かせください。

 

3.超高齢社会に向けた高齢ドライバーの免許証返納についての連携ある取り組みについて


つぎに超高齢社会に向けた高齢ドライバーの免許証返納についての連携ある取り組みについて伺います。

車社会が到来して以来「交通安全」は永遠のテーマとなっています。交通事故による、死亡事故の酷さや人生を変える程の事故を起こした側の責任重さなど、一つ一つの命に係わる代償の事例を積み重ね、交通ルールーの改正や、飲酒運転や危険運転の厳罰化、そして道路環境の整備や警察の取り締まりを含め安全を願う人々の努力が為されてきました。「交通戦争」と言われた1970年代の1万6千人を超える死亡者数を数えた時代から50年近い歳月をかけて2015(平成27)年の死亡者数は4,117人となり、前年度より4人増加して居るものの減少傾向にあります。ところが、高齢者の死者数は前年比で54人増え、死者数に占める高齢者の割合も54%を超えている状況にあり、高齢者の安全対策に力を入れています。

最近の報道では、高齢ドライバーによる死亡事故が相次ぎ、衝撃と恐ろしさを感じたのは私ばかりではないと思います。

公益財団法人「交通事故総合分析センター」の統計によれば、最新の2014年に、80歳以上の方が、自動車等で死亡事故を起こした件数は266件に上り、1993年の62件と比べ、約20年で4・3倍の増加となっています。70歳を超えれば、運転免許証の更新の際、教習所で「高齢者講習」を受けるのが義務になり、動体視力や夜間視力の検査と並び、実車での運転操作も確認されます。しかし危険性を注意されても免許証は更新されます。75歳以上になると、更新の際、高齢者講習に加えて、認知機能の検査を受けさせられます。

この結果によって、認知症のおそれありの結果が出ても、更新されその後違反をした時に免許停止と成る為、免許証の更新における強制力はありません。

仕事や生活上車の運転を必要とする高齢者も増えていて、運転をするのか、止めるのかはあくまでも自分で決める事となっています。今後、超高齢社会はまだまだ進展していきます。高齢化率30%を超す時期もそう遠くはないのです。本区では運転免許証返納者に「めぐりんの回数券」や「区立文化施設4館共通入館券」を配布するなどの事業を他区に先駆けて実施していることは承知しています。

さらに安心安全な社会を作る為には、身近に区民に接している区役所の各セクションの連携による取り組みが欠かせません。

地域での安全意識の共有の為、高齢者組織、町会、社会教育団体、などへの運転免許返納の情報提をして共通認識を図る、健康部と連携し健康診断や医療機関受信の時に、掛かりつけの医師より体の状況に応じた運転適性へのアドバイスをしてもらう、など様々な場面で判断の機会を増やして、高齢者自身の的確な判断に繫げていければと考えます。交通網の利便性が高い台東区ですので、本人の意識改革により高齢ドライバーの事故撲滅が図られるのではないでしょうか。区長のお考えをお聞かせください。

 

4.朝鮮通信使世界記憶遺産登録推進の取り組みについて


最後の質問に移ります。朝鮮通信使の世界記憶遺産登録に向けた取り組みについて伺います。

朝鮮通信使は室町時代に始まり、豊臣秀吉の朝鮮出兵で中断されましたが、徳川幕府により再開され江戸時代には12回に渡り、将軍に謁見しています。江戸での宿所となったのが浅草の東本願寺であったことが、文献に残っています。

江戸時代の長い時間を隣国との穏やかな関係が続いたことは、両国の歴史的事実として世界記憶遺産に登録しようと今年3月にユネスコに申請しました。申請は台東区も入り19の自治体を含むNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会と財団法人釜山文化財団の日韓共同でしかも民間団体によるものとなっています。私は7月に推進委員会の石山会長や数人の議員と共に、フランスの日本代表部を訪問し国立西洋美術館の世界遺産登録のお礼と、共に朝鮮通信使の世界記憶遺産登録推進についてもお話しご協力をお願いいたしました。また日本代表部の職員の方と共にユネスコの世界記憶遺産の担当者ともお目にかかり、朝鮮通信使に関する活動の様子や民間の意気込みをお話しして参りました。反応は大変に良く理解いただけた様に感じました。

日本での推進に向けた活動として、川越市のNPOが11月14日に台東区の生涯学習センターで朝鮮通信使映画とトークの夕べが開催されました。第1回の通信使の11代目子孫が登壇され日韓の友情と平和に熱い思いを語られたそうです。また縁地連絡協議会の主催で11月27日には早稲田大学においてシンポジュームを開催、大隈記念講堂でミュージカル対馬物語を上映しました。

国立西洋美術館の世界文化遺産登録が実現しました。10年前はじめてフランスが登録申請した時には、ル・コルビジェの建築作品の一つとしての価値を知っていた人は少なく、なんで?と思う気持ちが強かったと認識しています。登録推進の活動を通して近代建築の意味や、コルビジェの歴史的意味を理解できたものと思います。同じように、朝鮮通信使の歴史的意味や交流の事実を、ご縁のある地域に住む私たちが良く理解し、発信していく活動が大切です。区役所だけでなく、民間団体や区民の協力を頂くことも重要と考えます。今後、区長は朝鮮通信使の歴史的文化をどのように発信し、より多くの方々の理解を深めて頂く為にどのように展開していくのか方策をお聞かせください。