平成28年第1回定例会 一般質問
平成28年第1回定例会 一般質問
平成28年第1回定例会 一般質問
自由民主党の高森喜美子でございます。平成28年台東区議会第一回定例会に当たり一般質問をさせて頂きます。
質問事項が多いので早速質問に入ります。
1.財政について
平成28年度一般会計予算の特徴と区長の思いは?
平成28年度各会計予算が示されました。区の財政は経済の流れに大きく影響を受けます。安倍ノミックスによる経済効果は、税収の伸びから感じることが出来ます。平成28年度の当初予算は過去最大と成り一般会計は968億円、服部区長就任後初の本格予算と成り「躍進台東・新しい台東区」実現に弾みが付くと期待いたします。
観光バス対策や低所得者対策。高齢者対策など懸案事項が予算化されました事を評価いたします。ことに私が従前より主張して参りました区有施設の老朽化対策を計画化し、予算がついて前進しだした事は高く評価いたします。そこで本予算に込めた区長の思いと、特長についてお聞かせください。
積立基金の適切、機能的活用について。
次に、先ほど申しました様に、区の財政は大きく経済の荒波に揉まれます。グローバルな経済の環境は日本のかじ取りに係らず、世界情勢に大きく影響されることから、その変化に対応できる財政の柔軟な運営を確保しなければなりません。区はこれまで基金の活用により、税収が落ちた時にも区民生活に支障をきたさないよう取り組んできました。
予算以上に税収が増えた平成27年度では、補正予算で基金を積み増せた事は良かったと思います。28年度に置いて基金の積み立ても含め、積み立て基金の機能的かつ適切な活用をどのように考えているのか、区長の御所見をお聞かせください。
事業の見直しと事業効果の検証への姿勢について。
次に区政の在り方は時代の流れの中で区民ニーズや、国の政策など将来性を感知し、スクラップアンドビルドが常に必要と言うことは論を待ちません。
しかしながらビルドの方は得意ですが、スクラップの方は躊躇する傾向があります。前年並みが無難だからでしょうか?行政評価も改善していますが自己評価の域を出ません。民間で活発に展開している仕事は民間に任せ、真に行政がすべき仕事は何なのか?原点に立ち返りシビアーに、税金の使い方を見直すことであり、効果の検証を区民の目線で確実にする事と考えます。
新区長の元、区政のカラーが変わるのは当然ですので、これまで問題として指摘してきた事業を含め、事業の見直しについてお考えをお聞かせください。
2.健康や介護予防の取り組みを地域の中で展開する方策について
介護保険制度が2000年に始まり、家庭の介護から、介護を社会制度で支える仕組みに変わり、家族の負担軽減が図られ、施設利用への抵抗感が薄らいで、社会保障の大きな柱となっています。
2000年には218万人が利用し3.6兆円の給付総額が2014年には10兆円利用者も600万人と高齢化が急速に進んでいます。
さらに段階の世代が75歳を迎える2025年には20兆円規模に膨らむと想定されています。介護保険の制度を社会保障の制度として今後も維持し、安定して継続する為には、介護や健康に対する住民の意識改革と行政と民間の組織的取り組みが不可欠となってきました。
国は地方自治体に地域の実情に合った仕組みを作り、住民が健康で暮らせるように、病気の予防、介護予防の具体的取り組みを畝がしています。台東区では「台東区高齢者福祉計画」「介護保険事業計画」が平成27年3月に策定され、第5期までの政策を見直し新制度推進の為の方向性を示したことは評価いたします。
ではいかに住民の間に「予防」の実践を促す取り組みを展開し、健康や介護予防について実感して、参加者を増やしていくのかが問われています。すでに全国各地で様々な取り組みが始まっています。
昨年保健福祉委員会で視察した宇部市では、健康に関する講演会や運動の取り組みに参加した時に「ポイント」を付与し、市の施設利用に使える仕組みを作っていました。
横浜市では、市と凸版印刷、オムロンヘルスケアの共同事業で、「よこはまウォーキングポイント」を実施しウォ-キングによる健康づくりが話題になっています。
荒川区では「荒川ころばん体操」が区民の間で知れ渡り、「転倒防止」のスローガンの元、会場では元気に楽しく運動する高齢者が増えています。音楽に合わせ歌いながら手足の動きと組み合わせて、認知症予防にもなり、足腰の筋力アップで階段が気にならなくなったなどの効果も表れているそうです。
岡山県ではテレビCMで、一過性脳虚血発作(TIA)の症状が出たらすぐに救急車を呼ぼうと呼びかけ、自覚症状が消えても危険の兆候であるとの認識を広め、脳卒中発症のリスク軽減に努めています。こうした各地域での具体的取り組によって、自分の健康や介護予防の認識を深め、地域にその輪が広がり、互いの健康を気遣い、その関係の中から支え合う組織も作られると思います。
行政、住民、医療機関 企業にも呼びかけて、「予防」に重点を移し、区民の「健康」への自覚と協力の仕組みを、区内の各地域でどう構築するのかに掛ります。台東区でも「健康」「予防」に対する具体的取り組みを地域の中で展開して頂き、自分の健康・家族の健康・周りの人の健康を意識し、運動習慣や生活習慣の改善につながることが大切と考えますが、区長のお考えをお聞かせください。
3.子供の貧困対策について
取り組むにあたり全庁的本部組織を考えてはどうか?
安倍総理は、「1億総活躍社会」という新たな目標を掲げ様々な政策を推進しています。
国は平成27年度補正予算で、待機児童解消加速化プランに基づく保育の受け皿の拡大、保育士等への支援、生活困窮世帯に対する教育支援資金の拡充などを進め、さらに、28年度予算では、保育サービス量の拡大、ひとり親家庭を支援する児童手当を第2子、3子以降を倍額に、年収360万程度以下の世帯に幼稚園・保育所の保育料を、第2子半額・第3子以降無料化、大学・専修学校向けの無利子奨学金の貸与枠の拡大など総額0.7兆円の子育て支援の拡充を行い、子育て世代を応援しようとしています。
また、「全国平均で子どもの6人に1人が貧困状態にある」との厚生労働省の調査結果を踏まえ、子どもの貧困対策の推進に関する法律を施行し対策に乗り出しています。
この法律の第2条には 「子どもの貧困対策は、子ども等に対する教育の支援、生活の支援、就労の支援、経済的支援等の施策を、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現することを旨として講ずることにより、推進されなければならない。」として、国と地方公共団体の緊密な連携の下、総合的な取り組みとして行うよう求めています。
全体像を区民に示し、推進すべきと考えるがどうか?
本区の小学校の要保護/準要保護の割合は平成26年度決算ベースで小学校26%、中学校では40%となっており23区でも高い割合上位で、子供の貧困問題は見過ごせない課題と言えます。
台東区に置きましも、平成28年度、予算において新たに展開される事業に中にこの法律を踏まえた取り組みがあります。
例を挙げますと、生活困窮者自立支援の中に新たに学習支援員を配置し相談に乗る、若者育成支援推進には社会生活を営む上で困難のある若者やその家庭を対象とした相談事業や講演会の開催をする、教育支援館に家庭環境などに起因する問題解決の為にスクールソーシャルワーカーを配置する。
そして新規事業では、ゆりかご・たいとう で保健師等が妊婦と面談し、妊娠から出産までの支援を実施し育児パッケージを配布する、学習支援講座/高校進学支援費支給では経済的理由などで学習機会のない中学生を対象に、外部講師による講座を開設する、生活保護世帯の中学生に塾費用・受験料を加算助成する、などの事業が当てはまります。
これらの担当するセクションは、保護課、子育て支援課、保健サービス課、教育委員会指導課、教育支援館などです。ケースによっては、松が谷福祉館やこども家庭支援センターと連携を取ることもあると聞いています。所管課においてはそれぞれ頑張っていると存じますが、全体像が見えずバラバラ感は否めません。
現実は複雑に絡み合う問題が、子供を取り巻いていて、これまでの所管の枠を超え、新たな連携や枠組みが必要であると考えます。
国は内閣府にこどもの貧困対策会議を組織し取り組んでいます。総合的な対応が必要ですので、本区に置いても全庁的に子供の貧困の取り組みを推進する本部組織を作り、区民に分かりやすいネーミングも考えて、妊娠出産から成人になるまで、切れ目のない対応として頂きたいと思います。
区長の御所見を伺います。
また国が「子供の貧困対策に関する大綱」で定める当面の重点施策を参照し、各政策を繋ぐ全体像を、分かりやすく区民に示してください。
全体像を「見える化」し推進していく事が、目標や事業の進捗、効果を検証する上で重要であり有効と考えます。この点についても区長の御所見をお聞かせください。
貧困の世代間の連鎖を断ち切り、どの子も経済的状況に係らず、自信を持って社会に巣立つことが出来るように、問題の早期発見、早期支援を願い質問いたしました。
4.旧坂本小学校跡地の活用計画推進の見直しについて
旧坂本小学校の跡地活用については昨年の第2回定例会の代表質問でも伺いました。
私は地域の将来性やニーズ、活用の効果、行政課題の解決などを勘案し活用の方針を示す必要があると考えるが、区長のお考えはどうか質問しました、区長は「様々な観点から庁内で検討を進め、区の考え方を主体的に取りまとめて参ります」とお答えいただきました
しかし、民間からのアイデア募集をして選定した案を、その事業者がそのまま事業展開するのかと思われ、入谷地区再開発検討会や町会、住民から理解を得られていません。
議会に置いても平成27年第1回定例会の、用地活用・地区整備特別委員会で審議され「大学案」「商業施設と住宅案」が示されましたが質問に対する答弁も歯切れが悪く説得力に欠けます。改選後の18期の議会では企画総務委員会に審議の場を移しました。
平成27年第2回定例会の企画総務委員会では「大学誘致」案を住民に説明するとの報告がありこの案を委員会として了承できない、たたき台として示し住民の意見を聞いてくる事は理解されました。
区民の財産である貴重な土地の活用について、「民間からアイデアを募集する」といった安易な方法から始まり、行政としての基本的方針である「大義」を示せないままで、住民も議会も納得していません。決定の不透明さが不信感に繋がり理解が得られない原因にもなっていると考えます。
事業者は既に決まっていて、カモフラージュの為に「民間からのアイデア募集」をしたのか?と言う疑念まで起きています。これ以上時間が経過し行政への不信感が広がらない為にも、新区長の元、主体的判断で再スタートを切るべきと考えます。
区長のご見解をお聞かせください。言うまでもなく、街づくりは行政の重要な仕事であり、その地域のみならず区民全体のニーズも視野に入れ、将来に渡って効果的活用を検討する責任があります。住民にとっては自分達の暮す地域環境の変化が、将来に渡る事と成り、より良いものを望むのは当然の事ですし、住民の考えは人によって千差万別です。
大きな資本を投じ、事業を展開しようとする事業者の考えもそれぞれであると存じます。これはどこの自治体でも同じで、だからこそ、区は責任ある態度で基本的方針を掲げ、住民や事業者の真摯でオープンな議論を公正にリードし、積み重ね結論を出すよう努力しなければならないと考えます。
服部区長のリーダーシップの元、優秀な行政職員の皆さんの総力を挙げて取り組んでいただきたいと存じます。
5.「朝鮮通信使」ユネスコ憶遺産登録推進の取り組みへの参加について
日本と韓国との関係は、昨年国交正常化50周年の節目の年であり、12月の両国外相会談で懸案事項が話し合われ解決向かうことは喜ばしいことです。
お隣の国でありながら、「近くて遠い国」と言われた時代もありましたが、今では韓国の食文化を始め、音楽・演劇・テレビドラマなど身近な存在となっており、韓国からの訪日客も近年大きく伸び、街で韓国語を耳にすることも良くあります。
歴史的には、大陸の中国文化の経由地として日本の文化に影響しているところも多いと言われています。そして、室町時代足利義満の時に始まったとされる朝鮮通信使の交流は、戦国時代に自然消滅し、徳川家康によって再開されました。その経路は韓国のプサンから船で対馬に渡り、瀬戸内海を経由して大阪に上陸、中仙道から東海道を陸路で、江戸までを往復するものでした。
江戸で将軍に謁見するに当たり、宿泊していたのが浅草の東本願寺であったとの記録があります。朝鮮からの一行は、正使、副使のほか、書記、通訳、書家、画家、医者、僧侶など500人ほどで、日本からの警備や荷役が加わり2000人の大行列になったと言われています。江戸時代に12回訪れていますが、各地では珍しい衣装や、貢物の動物を一目見ようと歓迎の見物人が押し寄せました。行く先々で日本の儒学者と漢文による筆談や、通信使の日記が残っていますし、宿泊した地域に様々な痕跡も残っています。
こうした朝鮮通信使ゆかりの各地の自治体が交流の会を誕生させ、今では18自治体と団体・個人でNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会として、韓国と共に朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産に登録しようと活動をしています。
すでに登録の準備も進んでいるようですが、この活動に最終地江戸である東京からの参加がありません。宿泊を受け入れた浅草東本願寺の自治体として台東区が、朝鮮通信使縁地連絡協議会に加わることは意味のあることと考えます。これから先の文化交流のきっかけともなりうるのではないでしょうか?
区長のご所見をお聞かせ下さい。
以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。