平成23年第4回定例会 一般質問
平成23年第4回定例会 一般質問
平成23年12月 第4回定例会 一般質問
自由民主党・無所属の会の高森喜美子でございます。
お許しを頂きまして、通告の順に従い一般質問をさせて頂きます。
1 施設の保全計画について
台東区の区有施設は仮設的なものを除き226棟あり、昭和59年以前に建てられた建物は104棟で全体の46%に当たります。あと3年で築30年以上となる建てものです。
当然補修や維持管理に大変に費用のかかる時期を迎え、様々な問題もないとは言えない状態になってまいります。
この中にはリバーサイドスポーツセンターや柏葉中学校のように大規模改修により生まれ変わった建物もありますし、本庁舎や朝倉彫塑館、千束保育園など改修中の物もあります。そのほか多くは施設補修要請により、故障や不都合の部分的改修を行って使っている状況です。
建物の対応年数は鉄骨鉄筋コンクリート造り及び鉄筋コンクリート造では60年とされています。ほとんどの建物はこの範囲ですので、あと30年は使い続けられると考えられます。
しかし、時代の変化や使い方、老朽化など一定の大規模修繕が必要な建物も多くあります。
平成18年に区有施設保全計画(中間のまとめ)を作りました。計画期間は平成19年から平成33年までの15年間とし必要に応じて5年ごとに見直すとしています。
しかしその後施設の保全計画は示されていません。時がたてば経年劣化はさらに進みます。公共施設を安全で快適に、しかもできるだけ長く使い続けることが出来るように維持・保全を図ることは当然の責任であります。一度に多くの大規模改修は財政負担も大きくなり不可能ですら計画的に進める必要性があるわけです。
中間のまとめでは計画の目的として、少しでも長く活用すること、財政への悪影響を平準化すること。とされています。平成20年に台東区耐震促進計画が公表されました。
建築物の耐震改修に関する法律により、区有建物の耐震化100%の目標を平成27年までに達成することとしました。まずは耐震改修と、そこは計画的に進めることになったわけです。
しかし全体計画は19年から5年目の今日まで示されずにいます。「財政が厳しいから計画してもできない、ならばとりあえず耐震改修だけを」でいいのでしょうか?
結局は問題を先送りし将来の負担に回ってしまう懸念を持ちます。思考停止状態ではすまされません。
例えば、「維持・修繕費など年間の経費を数年分前倒して一定の大規模修繕をしよう」と考えることも出来るのではないでしょうか。施設の必要性や優先度を見極めて区有施設の保全計画を、初期の目的通りしっかり策定すべきと考えます。財政負担の大きい事業だからこそ計画性が問われるのです。区長のご見解をお示しください。
2 地域防災計画について伺います
今年3月11日の東日本大震災は、地震による建物の倒壊、液状化、その後襲った巨大津波に流される二重の災害であり、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、放射能という次元の違う被害を加えていると言えます。
産業の再生と、将来を見据えた都市計画を示し、住民が希望の持てる地域の復興を早急に進めなければなりません。政府に求めるものは断固たる決意と推進する力強さです。
しかしながら今日まで、首相の交代はありましたが、将来のビジョンは見えず、気迫さえ感じられないのはどうしたことでしょうか?関東大震災当時の政府の対応は、3日後にはバラックといわれる仮設住宅を建て始め、2か月後には8万6千人を超える人を収容していたといわれています。また、発災4週間後に、後藤新平は復興計画を提案していたのです。危機感の違いなのでしょうか?
翻って、東日本大震災の大きな教訓から台東区は何を学ばなければならないのでしょうか?
大きな揺れは、区民の住まいにも外壁の落下や亀裂の被害をおよぼしました。高層住宅の揺れ、帰宅困難者なども実感させられました。計画の想定を超える地震の大さや津波の脅威は、全国の地域防災計画の基本を揺るがしました。
区議会に置きましても第2回定例会、第3回定例会で各会派より防災に関する質問が多数行われ、問題点の指摘がなされました。区長の答弁も積極的であり頑張っているのは分かります。
しかし中身がよく分かりません、その理由は「地域防災計画策定の中で検討する」とう答弁で締めくくられるからなのでしょうか。地域防災計画の重要性は十分に理解いたしますが、計画が出来ればそれで、全て終了という訳にはいきません。
組織が計画通りに動く為には、各部において・学校や幼稚園・保育園、高齢者や障害者施設・図書館など各施設の防災対策の点検や課題の確認も大切です。現場がよりスムーズに混乱なく対処できるような取り組みも必要です。台東区事業継続計画では職員行動マニュアルの改訂を23年度に行うとされていますので、各部においては現場の状況を踏まえたマニュアルとするために、どのような工夫をしているのか、これまでとどう違うのかお聞かせ下さい。
住民・地域の防災についても地域に合った防災意識の形成と具体的な取り組みが欠かせません。
現状を把握し防災への共通認識を持つことは、いざという時のため必要です。
例えば、地域の危険個所の確認、避難経路の確認 高齢者、障害者など災害弱者の把握、地域消火器の認識と活用、井戸の確認と日常の活用、防災備品の確認など具体的な認識です。
個人は、家具の転倒防止、ガラス、食器の飛散防止、消火器の設置。非常持ち出しの確保、万が一の家族の連絡などです。実に基本的なことですが、地域の現状を把握し防災について認識を深めるため、各町会・住民に防災に対するアンケート調査をすべきと考えます。アンケートの結果を基に自ら準備すべきこと、行政に頼みたいこと、町会として備えることなどの整理ができます。個人も、町会もそして台東区も共通の認識に立ち、効果的な防災対策を進められるような調査をして頂きたいのです。お考えをお示しください。
地域住民一人一人がいざという時にどう行動すればよいのか、自分の身を守る基本的なパターンを身に着けることが大切です。危険をイメージできることで、命を守れた例が今回の震災でもいくつも報道されています。本区でも近所で火災が起きたら、あそこの消火器で消火しようとか。通報はどうしようとか。具体的に想定をしながら話し合い、問題点を把握してそれを町会の防災行動マニュアルにまとめてはどうでしょうか?
住民の意識啓発と備品の確認、訓練に役立ちます。町会防災行動マニュアルを作れるように、区は支援すべきと考えますが、区長のご見解お示しください?
すでに町会の中には東日本大震災を契機に地域防災について考え行動を開始している所もありますが、町会により取り組みには差があります。区民との密接な連携なしに地域防災計画は実行性のあるものになりません。
台東区は狭いと言っても、地域特性があります。
木造密集地域の谷中・根岸・昼と夜の人口差の大きい上野・御徒町、中小企業と住宅の混在する南部地域、観光客の多い浅草地域、住宅の多い北部地域、特性に合った防災意識の定着が必要です。これまでも自主防災組織が町会を中心に組織されてきました。防災資機材や備品も要請に応じて支援していますが、その活用状況は自主防災組織任せのところがあり、実際の効果について検証されていません。いざという時に活動できるように、地域特性を考慮に入れて資機材のあり方をもう一度検証し、標準的な準備のあり方も示して頂きたいのです。区長のご見解をお聞かせください。防災資機材や備品を防災訓練で活用し、効果を上げている町会もあると聞いていますので、良い例を参考に区内に広がることを期待しております。
また、避難所ごとの「避難所運営委員会」の取り組みも、毎年実施しているところと、形骸化しているところのバラつきあるように思います。町会ごとの連携が必要であり、避難所の防災備品の点検や、いざという時の情報伝達、役割分担、避難・炊き出し・配布・マナーなど様々な課題を話し合う必要があります。現状を踏まえ今後どのように、避難所運営委員会の活動を支援するのかお考えをお示しください。
企業の責任と地域との連携について伺います。
地域の企業、事業所の防災対策の現状は把握していますか? 従業員の為の食料や飲料水の備蓄、消火器の有無、事務所内の書棚転倒防止、机の移動防止などの対策の有無、町会との連絡体制、など働く場の防災も重要な要因です。消防法に定められている大きな企業ばかりではありません。実態が問題です。企業にも防災準備の必要性と地元町会との連携を促す必要があると考えます。企業へのアプローチはどのように進めますか?帰宅困難者を出さない為に、交通機関がストップした場合は会社での待機や宿泊も視野に入れ、事前に準備することが従業員の安全につながります。企業の防災準備状況と課題について、区長のご見解をお示しください。
3 交通安全と自転車対策について伺います。
交通安全は社会生活の中で誰もが願う課題の一つです。
統計では平成22年中の交通事故の死亡者は、4863人で、10年連続で減少傾向にあります。安全意識の向上や道路整備、安全設備の充実、取り締まりの強化などの成果といえましょう。しかし死亡者は、諸外国と比較しても,高齢者の占める割合が極めて高いのです。高齢化は急速に進むことを考えると,高齢者が安心して外出したり移動したりできるような交通社会の形成が望まれます。また、全体の交通事故死者数に占める歩行者の割合が3割を超え,欧米諸国と比較して高い割合となっています。
警察庁は歩道での安全を確保するため、自転車総合対策をまとめ公表しました。自転車のルールを徹底しようと言うものです。
東日本大震災以降都市部では自転車で通勤する人も増えています。中には時速40~50kmのスピードのでるスポーツタイプの自転車で車道と歩道を縫うように走る危険な人も見かけます。また「ピスト」と呼ばれる競技用自転車が人気で、ブレーキを外した危険な自転車も走っています。こうした危険な自転車を取りしまることは重要です。これからは、道路交通法に定められているように、「自転車は原則車道通行」を徹底するよう指導するとしています。もちろんこれまで同様13歳未満の子ども・70歳以上の高齢者・身体の不自由な方の歩道通行は、例外として認められます。道路標識で指定された歩道も通行できます。
私は子供を前や後ろに乗せて移動せざるを得ない、子育て中の女性の自転車は、例外に入れて頂きたいと思います。区長から是非申し入れて頂きたいとお願いいたします。
自転車ルールの厳格化と同時に、通行帯の整備も進め、「自転車の走る場所は車道の端に色で区別する。」「歩道と歩道を結ぶ自転車通行帯はなくす」など、道路の様子も変わる所が出てくるようです。来年24年1月より実施の予定とのことですが、区は今回の自転車総合対策についてどの様な説明を受けているのか、警察とどのような連携と役割分担するのか、区民への周知はどうするのかお示しください。
自転車交通ルールーの教育について伺います。
警視庁が自転車に関する法令や規則についてアンケートしたところ、車道通行の原則と歩道通行の例外について46%が「知っているが守らない・あまり守らない」と回答し、歩道走行できる条件につては38%が「知らなかった」と答えるなど、規則の周知が進んでいない実態が明らかになりました。
自転車のみならず、歩行者・自動車それぞれの立場になる可能性は、お互いにあるのです。安全のために誰もがルールーの再認識と、相手を配慮する気持ちの余裕を持ちたいものです。
交通安全対策として台東区でも、安全教室を開き小学生に自転車の安全な乗り方と交通ルールを教えています。子どもと一緒に親にも参加してもらい、共に自転車の交通ルールを知ってもらう必要も出てきました。中学校・高等学校でも安全教室を実施している自治体もありますし、実技とルールの簡単なテストに合格すると、自転車免許証を出している自治体もあります。自転車のルールの認識を広め、安全な交通社会実現のために、様々な取り組みを参考にしながら、本区独自の自転車免許証について考えてはいかがでしょうか?ご見解を伺います。
次に自転車専用道路の整備について伺います
現在、浅草通りのシンボルロード化と合わせて、自転車専用道路も整備をしています。この場合は歩道の一部を自転車の通行区分として整備されているので安心感があります。車道の端に色分けで自転車の通行帯を作る場合と、安全の点でまったく異なると思います。自転車の通行環境については、自転車台数の増加にもかかわらず、後回しにされてきた経緯があります。通行量が多く、道路幅の限られている中で、今後はどのような基準で自転車道路や、自転車の通行帯を整備していくのかご説明下さい。また整備計画は、国道、都道、区道それぞれどのように進めるのかお示しください。
庁舎の自転車置き場の適正利用と整備について
現在 庁舎改修工事のため、来庁者の自転車置き場は、旧下谷小学校の敷地に仮置き場が設けられました。これまでの庁舎周辺の自転車置き場は、一杯でなかなか止められないという経験のある方も多いと思います。あまりにも管理不行き届きで、庁舎に用事のない人でもそこに止めて一日中置きっぱなしが罷り通っていました。来庁者が利用しやすいように様々な管理の方法を検討し、目的に適うよう整備すべきと考えます。庁舎の改修を契機に自転車置き場の整備について区長のご見解をお示しください。以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。