平成21年第1回定例会 一般質問
平成21年第1回定例会 一般質問
平成21年 第1回定例会 一般質問
平成21年2月16日
自由民主党 高森喜美子
一 教育について
①台東区の教育予算について
言い古されたフレーズですが、「教育は国家百年の計」と言われています。しかしこのフレーズが示す「その国の将来は全て教育にかかっている」という認識は、洋の東西を問わないものであります。英国のブレア元首相が就任したときの所信表明で、国家の最重要課題は「一に教育、二に教育、三に教育」と述べたことはあまりにも有名です。アメリカではクリントン元大統領が、一般教書演説で「教育は21世紀の国家安全保障上の問題」と位置づけ、「4年間の最優先課題は、全ての米国民に世界最良の教育を保障すること」と述べています。続くブッシュ元大統領も「おちこぼれを作らないための初等中等教育法」を制定するなど教育の充実に努力しました。つまり、単にスローガンに止まらず、予算の裏づけをしたのです。ブレア首相も在任中には就任当時に比べ教育予算を倍増したと言われています。
日本の状況はどうでしょうか?OECD加盟国の中でも、特に数学の成績は、マラソンに例えれば、トップ独走状態だたのが、今は一位集団に飲み込まれ、さらに二位集団に追いつかれてしまったような状況になっています。つまりPISA調査(国際学習到達度調査)の結果は。科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシー、どれも下降気味です。この間各国は、軒並み国家予算の教育費を充実してきました。まさに教育大競争時代を迎えています。教育予算の割合で比べれば成績の良い国は、我が国に比べていずれもその比率が高いのであります。財政の裏づけが必要という代表質問での寺井議員の主張は教育においても「然り」であります。
平成21年度も大変厳しい経済状況が予想され、国も自治体も慎重な財政運営が求められていることは承知しております。しかしこういう時だからこそ、「米百表」の精神が必要なのだと考えます。今年の171通常国会の参議院本会議の麻生総理の答弁の中に、教育投資はOECD加盟国を参考に充実してくとの答弁があり、期待したいと存じます。
昨年12月にある日刊新聞が、全国の市と23区を対象とした行政サービス調査の結果を公表しました。その中で台東区は教育部門で全体の二位と掲載されました。コメントによると、一昨年からはじめた非常勤講師の採用などが評価されたようです。「区独自教員採用」を提案していた我が党にとっても、大変嬉しい名誉なことであります。
ところが、本区の予算全体に占める教育費の割合や生徒一人当たりの予算額が23区比較で19年度23位、20年度23位でした。商工費が“常に抜きん出て1位”とつい比較してしまいます。生徒一人当たりの年間学校運営費が「プレジデント・ファミリー」という月刊誌にも自治体間格差として掲載されたこともありますし、平成17年第2回定例会では我が党の和泉議員が質問に取り上げられたこともありますが、答弁がかみ合っていません。
21年度は施設の大規模改修や幼児教育の充実の為、組織改正で教育費の占める割合が増えると思われます。しかし、生徒一人当たりの年間学校運営経費や図書費のような部分は、他区に比べどのようなレベルにあると区長は認識しておられますかお答え下さい。
また、これまでの議会の中での議論を踏まえ、新年度予算編成にあたり、教育予算額の割合や今後の教育費に対する区長のご見解をお示し下さい。
② 幼児教育について
平成18年12月に教育基本法が改正され、教育の基本理念が示されました。我が国の教育の目指すべき姿を国民に明確に提示し,その実現に向けて道筋を明らかにするため,同法第17条第1項において,政府が基本的な計画を定めることが規定され教育振興基本計画策定されました。そして、この中で改めて「教育立国」を目指すことが宣言されました。5年間に取り組むべき施策の中には、「幼児期における教育を推進」も明記されています。
少子高齢社会、価値の多様化、女性の働き方の多様化によるニーズの変化などの社会の流れを踏まえ、平成17年には、中央教育審議会幼児教育部門から「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育のあり方について。」という答申が出され、18年の「幼児教育振興アクションプログラム」策定につながり、認定こども園制度、幼・保連携、幼・小連携の強化、幼稚園教員の資質向上、教育内容の充実、無償化の検討が提案されました。
台東区では15年度より「幼・小・中連携の日」をつくり指導の交換交流をすることにより、他の教育段階の理解も深まったと聞いています。そして21年度は保育園、子どもクラブを教育委員会所管とし、幼児期の教育全体を包括的に押し進める体制が整います。
そこで提案です。国の動きに先駆け、先進的な取り組みもあった台東区ですので、さらに充実に向け、幼児教育についての研究会作り、公私の別なく、幼稚園、保育園、認定こども園の教育実践に役立つカリキュラムや研究成果を共有し、高いレベルを目指せるように情報提供をし、教員の研修になるよう支援していただきたいのです。
さらに幼児期にこそ最適といわれている、ソルフェージュのような音感教育、体を動かすリトミックや体育指導、食育など、専門の教師を週に1度でも派遣し内容の充実を図っていただきたいのです。専門教員の派遣は、教員や保育士の刺激になること、子どもの興味の範囲か広がるなどの効果が期待できます。ご検討下さい
幼・小連携についてはどのような取り組みをされるのか?
そして、教育委員会として新たに幼児教育全体について、国の計画も念頭においてどのように取り組もうとしているのか、具体的にお示し下さい。
二 既存施設のリニュアルについて
「居は気を移す」孟子の言葉があります。住まいの在り様が人の気持ちに影響があるということです。人の生活に欠かすことの出来ない「衣・食・住」であり、環境として大切なことは誰でも理解できます。以前、「劇的ビフォー・アフター」というテレビ番組がありました。長年にわたり、住みにくいという問題を抱えた家を、建築家の巧みの技で、リフォームすることにより、問題を解決しさらに、新築したように快適に、使いよく、家族の希望を叶えた住居に変わっていくのです。私は建物が変わることもすばらしいとおもいましたが、初めて自分のきれいになった家に、その家族が入っていくとあまりの変化と、これまであきらめていた不便さの解消に、感激の余り涙ぐんでいる姿が印象にのこっています。区の施設は、多くはそこに住んでいるわけではありませんが、保育や、介護施設のように、一日の長い時間利用する施設もありますし、短時間過ごすだけの施設など、利用形態はいろいろですが、多くの区民は、使いやすく、きれいであって欲しいと願っているはずです。
既存施設は区民の財産であり、区民サービスの拠点としてそのあり方は区の施策の大きな課題であります。施設の老朽化は修繕費がかさみ維持管理に費用がかかるが、部分的な解決になるだけで、便利性、快適性、安全性 有効性について向上するわけではありません。基本的には、一定の期間が過ぎれば問題は発生するのであり、対応年数を考え更新することは、必ず実施していかなければなりません。建物は、これまでの耐久消費財との考え方から基本財産として長く使っていこうという方向に国の考え方も変わってきています。造られた建物を、より長く快適に使っていくことは、これからの区政に求められる仕事であります。
今年1月、企画委員会に出されました「区有施設の現況報告」を拝見いたしました。『区有施設は平成20年4月現在、建築後20年以上経過しているものが約60%あり、今後老朽化が益々進むため、その維持、保全に多額の経費が必要となる』としています。全体は校外施設や借り上げ施設も含めると348施設に上ります。
時代の流れの中で、小中学校の統廃合が行われたり、耐震強度が求められたり、使用目的が変更になるなどの、変化があることは良く分かります。これまでも時代のニーズに合わせ、改修工事や使い方を変えて適宜有効に建物を使用してきました。しかしながら、建物は、時の流れと共に老朽化していくことは、建てたときから自明のことであり、建物ごとの、安全性や快適性を考え、対応年数も考慮した保全計画と、必要な費用の見通しを年次的に作って、実施することが重要です。「光陰矢のごとし」時は待ってはくれません。区長の決断とリーダーシップで全体の60%にのぼる20年を経過する区有施設について、利用率も勘案し統合も含め、必要な施設のあり方について方向性を示していただきたいのです、ご決意をお聞かせ下さい。
どんなに長くても建築後30年以上になる建物は全面リニュアルの必要に迫られていると考えます。区のリニュアルにたいする基本的考え方をお示し下さい。
また、「子育てするなら台東区」と誰にも分かりやすいキャッチフレーズで区長の姿勢をアピールしているところです。一方で施設は区の施策のシンボリックな存在でもあります。しかし、区内の子どもに関する施設は30年以上経過しているがリニュアルもされず、修繕の積み重ねで統一感や整備感が損なわれ、居住性、快適性、便利性、環境対応など、見た目でも不十分と思われるところがあります。
4月の開設を目指している「ことぶきこども園」は済美小学校の1・2階をリニュアルしてのオープンですが、以前はこども園を理解できなかった方も、施設がきれいに整備されるのを見て、考え方も変わり、申し込みの時には、人気の園になっていたようですが、「施設がどうか」が如何に大切であるかを物語っているといえます。
子育てをしている若い方たちに、これから結婚をして住む場所を考えている人たちに「子育てするなら台東区」と選んでいただけ、住んでいる方には“子育てしやすい”と実感していただけて始めてキャッチフレーズが本当に
施策として生きてくると思います。
先日見てまいりました池之端児童館は築後30年以上の施設で、地域の方にも、子どもクラブとしても使われていますが、施設の状況はつぎはぎ的整備と言わざるを得ず、リニュアルの必要にせまられています。子どもたちが「きれいでいいなー、ほっとする」と感じるような施設であってほしいのです。近隣にはマンションの建設が進められています。この地域は交通の便も良く、目の前に上野公園があり都内でも有数の好条件の地域です、千代田区、文京区と比べ、高額のマンションを買おうとする子育て世代に、台東区を選択してもらうためには、子どもの施設は影響すると考えられます。自治体間競争といわれる今日、区の将来を考え戦略的にも早急にリニュアルすべきと考えます。区長のご見解を伺います。
保育園、幼稚園、児童館など「子育てするなら台東区」の名にふさわしい施設のあり方についての考え方をお示し下さい。
三 消費生活に関する施策について
私たちの生活は、商品を買う、サービスを受けるなど、考えて見るとその種類は多種多様で、全てについて深い理解と、知識を持っているわけではなく、これまでの経験上の常識的、相互信頼によって、品物を選んだり、契約をしたりしているといえます。これまで消費者の要求で食品に製造年月日 添加物、産地、原材料などが記載されるようになり、クーリングオフ制度が作られて、改善されてきているところです。ところがここ数年、さまざまな企業による不正事件が明るみに出ました。牛肉偽装事件、食品偽装事件、中国産毒入り餃子事件、汚染事故米事件、産地偽装事件、など食の安全にたいする国民の信頼は崩れてしまいました。また、不正販売、契約違反、架空請求、投資詐欺、など、騙してでもお金をもうけたい、少しぐらいルールを守らずとも分からない、そんな自分勝手な企業や、経営者が次々と現れ、ひいては会社の倒産に追い込まれているにも拘らず、不正事件は後を絶ちません。加えて、振り込め詐欺の被害も昨年278億円に上り、犯罪の防止、身を守る知恵のPR.も大切です。
生活している上で疑問やトラブル、食品、製品に不安や疑念を持ったとき、消費者の立場にたって相談や、問題解決のアドバイスや、専門機関への紹介、問い合わせ、時には告発など自治体による消費生活センターが大きな役割を果たしてきました。しかし、「消費者保護」は行政上の位置付けが希薄で、国においても各省の産業振興の派生的テーマとして縦割り行政の下に置き去りにされてきました。事件や問題が発生するたびに、その所管する省の対応の悪さが露呈し、法の不備が指摘されてきました。消費者行政を一元的に取り扱う消費者庁設立を、福田前総理が積極的に推し進め、引き続き171通常国会で消費者庁設置関連法案が審議されます。
今や「安心安全」「良質」な市場の実現は、国の目指すべき目標であり、消費者、事業者双方にとって、長い目で見て大きな利益をもたらす唯一の道であるとの認識を、消費者庁によって具体化されることを期待いたします。消費者保護法の「消費者の権利の擁護及び増進」「消費者の権利の尊重及びその自立の支援」の観点から、国も地方も行政の在り方を点検し、改革していく姿勢が求められています。一方で消費者は、宣伝やブランド名だけに頼らない価値基準を持った賢い選択が必要です。そして、これまで地方が住民の相談に載っていた実績を踏まえ、消費者の声を国に届け、連携・協力して不正や・偽装の起こらない仕組みを、弱い立場を支える仕組みを備えて行きたいものです
本区においては、4月より組織改正で、消費生活相談は、今の商業計画課から区民部に新設の「くらし相談課」に移り、区民にとって分かりやすい名称に変ることは歓迎いたします。さらに内容はどう充実していくのかお示しください。
専門性の求められる内容の相談や解決の為、職員の研修の強化や、消費者保護の取り組みは、他の機関や全庁的連携を十分に取って頂きたいのですが、組織の体制についてお示し下さい。
相談窓口は区民に分かりやすい場所に、名称も消費者センターと同じような機能を持っていることが解るようにするべきと考えます、9階のままでは不十分と感じますがご検討下さい。
日々刻々と変わる消費生活情報や、犯罪に対する啓発は、多くの区民が読む広報に特集記事で掲載し、消費生活相談の窓口も十分にPRすべきと考えますが区長のご見解をお示し下さい。
以上が私のご提案と質問でございます。明解な答弁を期待し終わります。ご清聴 有難うございました。