平成19年第4回定例会 一般質問

平成19年第4回定例会 一般質問

平成19年第4回定例議会    一般質問

自民党の高森きみこでございます。
お許しを頂きまして、通告の順に従い区長、ならびに教育長に質問いたします。
 今日ここに、伝統ある台東区議会において一般質問を出来ますことは、私にとりまして、大変に幸せなことと存じております。これまでご指導を頂きました先輩の皆様に感謝いたしますと共に、責任の重さを痛感し精一杯取り組む事をお誓い申し上げます。では質問に入ります。
まず初めに、街の活性化や情報発信における、近隣他区との連携についてお伺い致します。

上野・湯島地域の魅力を倍増するためにですが、

台東区は文化・観光に力を入れ、様々なイベントを企画し誘客にも力を入れています。

ことに常磐新線の開通は、茨城県、埼玉県と時間的距離を一挙に縮め、浅草に新たなお客様を運んできています。鉄道の開通は地域に及ぼす影響が大きいことは述べるまでもありません。

先日発表になった、小田急線湯島駅通勤線通過問題は上野・湯島の人たちをがっかりさせました。理由が湯島はターミナル駅でないという事だそうですが、住んでいる人にとっては違和感があります。湯島と上野は、一体の地域で湯島駅の出入り口は上野1丁目側にもあって、むしろ上野湯島という駅名であってほしいくらいです。

駅が地下通路で繋がっていないとはゆえ、銀座線上野広小路、JR・大江戸線・日比谷線の御徒町駅へは乗りかえに多くの方が行きかう正にターミナルだと思うからです。

計画されていた湯島発が突然通過と変更され、せめて土・日の箱根行きのロマンスカー停車が実現できないでしょうか? 東京メトロは上野広小路地下駐車場を委託しているという、ご縁もあり、文京区とも連携し区長のイニシアチブで、交渉して頂きたいのですが、ご決意をお聞かせください。

またこの地域では三菱グループの基をなした、岩崎家の「池之端茅町本邸跡地」の場所に、池之端文化センター跡地があり、ここにワンルーム200戸のマンション計画が突如地元に示され、猛反発されています。

現在の旧岩崎邸庭園が重要文化財として東京都の管理する公園になったのも、熱心な住民運動により文化財保護が実現された歴史もあります。明治期の本格的洋館・撞球室。和館の一部が復元され庭園も整備されて、年間22万人が訪れ往時を偲ぶ観光スポットとなっています。

この歴史的・文化的価値を考えると、隣接地にワンルームマンション建設を反対する住民の気持ちはもっともと思います。一度失ってしまうと取り戻すのが大変なことは、これまでの経過が物語っています。

旧岩崎邸の半分は文京区にまたがり、湯島天神参拝の方、上野公園散策の方々も回遊し広く支持されていることを思うと、地元の本区としても文京区と連携し、地域環境と歴史・文化を守る立場で旧岩崎邸復元に向けてこの土地を活用するよう東京都に働きかけて頂きたいのですが、如何でしょうか?

日暮里・舎人線開通と本区の取り組みについて伺います。

来年3月30日、日暮里・舎人線が開通いたします。本区にとっては日暮
駅の舎人線とは反対側に谷中地域があります。谷中の魅力を、足立区などの、沿線の方に知って頂くことがまず重要です、新線の開通を契機に人の流れも変わり新たな誘客の可能性が考えられます、この地域は、谷根千といって谷中・根津・千駄木地区の区界を超えた交流が盛んです、趣のある散策地としてもテレビ、雑誌で取り上げられ地域一帯のイメージアップが浸透してきていますが、日暮里駅と谷中が隣接していることは、意外と知られていないようです。新線の開通を契機に区の境界線にかかわらず地域全体としての、情報発信をどのように考えていますかお示しください。

浅草橋イメージアップ戦略について伺います

浅草橋は問屋街として歴史的に東京の商業有名地です。

しかし昨今は流通の形態の変化や商業の大規模化、インターネットや通信販売の一般化など時の流れに押されがちです、いわゆる商店街ではないのですが、問屋街・専門店街としての魅力をイメージアップして発信することです。おもちゃ、人形、花火、文具、などの商品は、季節感たっぷりに町を彩り思いもよらぬ楽しみがあるのがこの地域の特色です。地域のイメージ戦略が必要で、良い物が安く、楽しく買い物が出来る下町のよさを発信していくことにより、この地域に注目集めることが出来ると考えます。町の活性化に向けたイメージ戦略 ついてお示し頂きたい。

次に、旧東京北部小包集中局跡地については、わが党の石塚議員も第三回定例会で質問されましたが角度を変えてご提案したいと思います。
この再開発については用地の取得の問題もありますが、将来に向けていかに魅力ある地域に活性化できるかという視点が必要です。

この地域はお隣の荒川区、白髭橋を渡れば墨田区で本区だけの領域で発案するのではなく、交通網の整備や住民ニーズなど他区を含めた共通の課題解決に結びつけることは出来ないのでしょうか?

東京は不便だとは言っても多くの人が暮らし日々の生活のなかで感じていることがあるはずで、これを把握し政策課題として取りあげる努力が必要です。区長のイニシアチブで、他区との連携を図りこの地域全体の将来の活性化の検討をして頂きたいのですが、如何でしょうか?

本区は東京の中心に位置し恵まれた立地環境にあります。しかし隣接する他区との行政区を越えた連携はあまり感じられません。今後は広い範囲で地域を考え、その特性や、特色をより鮮明にするためにも、情報のアンテナを張って、迅速に対応していただきたいと要望いたします。

福祉サービス苦情調整委員制度の導入のついて

福祉サービスの提供は、高齢者、障害者、子育てなど、区の仕事の中でも重要なウエイトを占めています。

しかし、福祉制度の変更、新設などで、制度について十分に理解し、納得してサービスを利用しているとは限りません。

思い込みや、説明の聞き違い、誤解、など様々な要因で苦情になるケースもありますし、サービスが事業者との契約に変わっている現在、契約そのものに不慣れな高齢者などにとっては、理解しにくいことも見受けられます。在宅サービス、入所サービスどちらも、利用者と業者とのトラブルは、発生しがちです。

しかし、お世話になっているという、利用者の側の負い目感があり、躊躇しているうちに、問題が複雑になってしまうケースもあります。トラブルはなるべく早く、客観的立場からの冷静な対応が必要と考えます。本区における介護保険に関する相談苦情の件数は、18年度で相談6337件このうち来庁1292件、電話4543件で苦情として処理されたものは、87件です。介護保険に対する認識が7年目で浸透してきているとは言え、いざ介護が必要になって初めて具体的な事柄に遭遇するので、相談件数が多いのだとは思います。
こうした状況のなかで利用の権利を守り、福祉サービスの一層の向上を図るためには、サービスの利用に関する苦情について、公正かつ中立的立場で迅速に調査し、調整をしてもらえる専門家が必要と思います。

これが苦情調整委員で、他区では、福祉や法律など何人かの専門家が委嘱されて活動しています。23区の中でも18区がこの制度を導入していますので、本区でも福祉サービスの向上のため取り組んでいただきたいと存じますが、区長のご見解をお示しください。

学校図書館の整備について

次に学校図書館の図書の整備についてお伺いいたします。

今年は創立60周年を迎えた中学校が、何校かありました。私も記念式典にご招待を頂、区民文教委員会の委員でもありますので、出席させて頂きました。懇親会の会場が、図書室でありましたので、何冊か見させて頂きましたが、驚いたことは、整備されている学校と、図書の数の少ない学校と明らかに差があることです。

もう一つは、置かれている本が、一冊は昭和39年に出版されたものでしたし、他の一冊も昭和40年代のものでした。外見からしても同年代と思われる蔵書が相当数ありそうでした。本の整理状態は、分類され、貸し出しカードでも記録されているものもあれば、未整理の物もあるようでした。

図書にもいろいろなジャンルがあり、一概には言えませんが、あまりに時を経過してしまうと、見向かれなくなるでしょうし、情報として古すぎてしまうこともあります。子供たちの読書離れが叫ばれている今日、各学校では朝読書を推進していますが、貴重な時間であり、より子供の興味をそそるような図書を整備し、すべての教科の基礎である国語力を養うことに繋げたいものです。

我が党の鈴木茂議員が第2回定例会の一般質問で、本区の学校図書予算の現状は必ずしも他区に比べて多くないと指摘されましたが、整備率だけでなく、更新の必要にも迫られているとすれば、今のままでは危ぶまれます。荒川区では、人を配置して図書の管理、整理をしているそうですが、教師と生徒だけで整理や管理が出来ないことも、整備の遅れる原因の一つと思われます。

そこで質問いたします、教育長は、区の小中学校の学校図書館の実態をどのように捉えているのでしょうか? 年度計画を立てて、集中的・計画的に図書整備を行うこと、人の配置も考え管理体制も充実するよう要請いたします。子供たちの一層の読書活動の推進方策について、どう考えているのか総合的にお示し下さい。

食育について

ご承知の通り「食育推進基本計画法」が平成18年に制定され、食育を国民運動として推進するため地方自治体においても、推進計画の策定を努力義務とされています。

18年第2回定例会で公明党の杉山議員も食育計画の策定を提案されていますが、当時の区長の答弁は「東京都が現在策定中の「推進計画」とも整合を図りながら、「健康たいとう21推進計画」の改定などの中で、具体化して参りたい」というものでした。

「食育」をどう捉えるかで推進の有り様は違ってくると思われます。

食事と健康の観点では「健康たいとう21」の中でカバーできると思いますが、それ以外にも食との関連で大切な事柄があると思います。先日、区民文京委員会の視察で福井県小浜市を訪問いたしました。小浜市では、平成
13年に食のまちづくり条例を策定し、平成16年「食育文化都市宣言」を発して、全庁的に推進されていました。特に心に残った事は、食文化館のキッズ・キッチンでの料理教室で、親は見るだけで口も手も出さず、子供だけで料理を作っていました。4歳児から、手のひらの上で豆腐を切り、野菜や肉もまな板の上で切り、ご飯は釜戸で炊ける設備も作られていました。私たちが行った時にはトン汁を作ってたべていました。若いお母さんは家ではなかなか料理をさせられないが、ここで体験できて、子供の力に驚いている。と言っていました。

学校給食は地域のおじいさん、おばあさんが作った野菜を使い、浜で取れた海産物、魚など、全体の40%は近所で賄うように献立検討会で考えていました。食に対する取り組みにより、子供が変わり、残食率3%。食事の大切さ、食材を作ってくれている地域の人への感謝、環境への関心、伝統文化への関心、楽しく食べることの大切さ、など人間力を磨く取り組みの効果が、地域、学校、家庭に広がっていったようです。

子供の言葉で親が気づかされる場面もあるそうです。
本区は、都会の真ん中にあって地産地消とは行きませんが、食育の本質は、学ぶところが大きいと思います。

食と健康はもちろん、本区では、地域の歴史・文化を知る上で、 浅草のり、どじょう鍋、うなぎなどの食文化があり、かっぱ橋道具街は料理道具の商店街として、全国に名高い商業地であり、食に繋がる切子ガラスなどの伝統工芸品もあり、屋上菜園で野菜でも作れば、ヒートアイランド対策として東京都も勧める屋上緑化になり、環境問題CO2削減にも関心が深まります。収穫した野菜は、友達と給食のときに食べれば一味違うことでしょう。

取り組み方次第で、子供からお年寄りまで、地域に対する愛着や歴史、文化のすばらしさが再認識されると思います。そこで質問いたします。「健康たいとう21」と連携し、食育推進を教育委員会が中心となって、学校教育、社会教育の中で、より積極的に推進すべきと思いますが。ご所見をお聞かせ下さい。

全国学力テストについて

今年の春に行われた全国学力テストは、1964年以来、43年ぶりで、参加率は98.95% 小学6年と中学3年生233万人を対象に、国公私立の約32700
校で行われました。

公立では愛知県犬山市が、私立は4割が参加を見送ったようですが、ほぼ全校が参加して、国語と算数・数学の知識に関する問題と活用に関する問題が出題されたと聞いています。

実施をめぐっては、地域・学校間の競争激化や序列化を招くとの批判が出たため、文科省は成績の公表は、都道府県までとし、各区市や学校名を公表しないよう教育委員会にもとめている、と報道されました。

もちろんこの学力テストは、子供の実態や傾向を把握し、一層の学力の向上を目的としたものであるので、そういった対応については理解できます。

しかし、一方で今後の教育のあり方や方向性について議論をしていく上では、私たち区議会も当然承知しておかねばならないと考えます。マスコミを通じて全国や都道府県の傾向について、断片的に知ることは出来ました。

しかし、肝心のわが台東区の子供達の課題や傾向については、現時点ではまったく分かりませんそこでお聞きいたします。

台東区の子ども達の実態や全国・都道府県と比べた場合の傾向など、今回の学力テストで明らかになった傾向や課題少なくないと思います。そのような結果の公表について教育委員会はどうしようと考えているのかお伺いします。現時点で公表できるものがあれば、お答えください。

契約について

契約については決算審査特別委員会の総括質問でも触れましたので、今回は随意契約について、質問したいと思います。

国も地方公共団体も契約に関わる不正防止、指名競争入札の談合防止、などこれまでの事件になった事例を研究し、よりよい仕組みに変えてきてところです。

今日問題となっている防衛省の航空機部品調達における、不透明さは契約の仕組みの根本から考え見直さなければならないと指摘されています。つまり特別な種類の製品だからとの理由で、随意契約が続けられ、内容の不透明さをそのままに、改善されなかった点です。政務次官が自衛隊倫理規定に違反し、業者から接待や贈り物を受けていたという、事態は言語道断と言わざるを得ませんが、組織として、いかに客観性、合理性、を担保する仕組みを整えるのかが、問われているのだと思います。

 今年、会計検査院は、各省の随意契約の点検を指示し、この点検の結果を踏まえ、「随意契約見直し計画」の着実な実施とフォローアップ、および計画内容の見直しを図り、競争契約を原則とする会計法令の趣旨に則るよう厳格な運用を求めています。各省においては、随意契約の見直しにより、競争入札への変更を促し、改善が進んでいるとされています。
 

随意契約の透明性の向上に向けた取り組みとして、

1、契約担当職員の充実、

2、随意契約とした理由の検査体制を作り、内部規定などに基づき設置された審査委員会が審査を行う、

3、随意契約に関する内部監査を実施し随意契約とした理由の妥当性の検証を重点事項としている。

4、随意契約等のホームページでの公表 など、チェック体制が整備されてきています。

 本区における、随意契約の割合は18年度決算ベースで68.53%、 そのうち見積もり合わせ20.35%, 特命随契48.17%となっています。他の地方自治体でも随意契約の割合は低いとは言えませんが、会計検査院が指摘した様に、組織として随意契約の透明性、妥当性、公正性を担保する仕組みを示していただきたいのですが、如何でしょうか?

また、一定額以下の範囲内、つまり、区長部局で30万円以下、教育委員会で50万円以下についても、契約や物品購入のルールを徹底するように改善を求めます、決算でも申し上げましたように。例えば3万円以上の場合は、3社以上から見積もりを取るなど、簡単で客観性が保証される仕組みが必要と考えますが、区長の見解をお聞かせ下さい。
これで私の一般質問を終わります。ご清聴有難うございました。